阪急電鉄、伊丹空港への乗り入れを検討か 大阪・梅田と直通

2017年9月2日 16:17

 阪急電鉄(阪急)が、大阪国際空港(伊丹空港)へ乗り入れる鉄道新線の建設を検討しているという。産経新聞や日経新聞などが報じている。

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 伊丹空港への鉄道による交通手段としては、現在、大阪高速鉄道(大阪モノレール)がある。阪急を利用した場合、大阪・梅田駅から、蛍池駅で大阪モノレールに乗り換える必要がある。

 阪急は、1970年代にも宝塚本線曽根駅(大阪府豊中市)から伊丹空港への乗り入れを検討していたが、宝塚本線の輸送力が飽和状態のため実現しなかった。2005年2月23日に曽根駅~神戸本線神崎川駅間の工事施行認可申請を取り下げた経緯がある。

 報道によれば、今回も曽根駅を起点とし、大阪国際空港までの3キロメートルを地下で結ぶことを想定している。総工費は1千億円規模となる見込み。実現すれば大阪・梅田と伊丹空港が乗り換えなしで結ばれることになる。今後、乗客の需要を検討し、採算ベースに乗るかどうかを慎重に見極めていくとしている。

 なお、大阪市内中心部と伊丹空港を結ぶ鉄道路線については、これまでも複数の議論が俎上にのぼっている。

 1989年には、兵庫県や伊丹市を中心として、JR福知山線伊丹駅と伊丹空港間に、約3.7キロメートルの新線を建設する計画が持ち上がった。しかし、神戸空港の開港による需要見込みの減少、2005年のJR福知山線脱線事故で顕在化した過密ダイヤの問題があり、計画は停滞している。

 また、2007年には、兵庫県がJR伊丹駅、阪急伊丹駅と伊丹空港を結ぶLRT(次世代型路面電車)の検討を行ったが、採算面から次年度以降の予算計上を断念している。

 今回の伊丹空港~大阪・梅田間の新線建設が実現すれば、現在、2031年開業にむけて協議がすすめられている「なにわ筋線」と、阪急が検討中の「なにわ筋連絡線」(JR北梅田駅~阪急十三駅間)を経由することで、伊丹空港~関西国際空港間が約1時間で結ばれることになる。

 「なにわ筋線」は、大阪府、大阪市、JR西日本、南海電鉄、阪急が共同で計画している鉄道新線であり、JR大阪駅北側に建設予定のJR北梅田駅(仮称)から、JR難波駅・南海新今宮駅までの7.4キロメートルを結ぶ。今回の伊丹空港新線・なにわ筋連絡線・なにわ筋線が完成のあかつきには、南北2つの空港と梅田(キタ)・難波(ミナミ)が一本の線路でつながることになる。(記事:松村美風・記事一覧を見る

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