2億年以上前の古細菌の化石を分析する新たな手法、東北大学の試み
2017年8月25日 06:57
東北大学の研究グル―プが、既存の研究手法ではほとんど発見することができない2億年よりも古い年代の古細菌の分子化石(化学化石)を検出する新たな手法を用いて、中国の地層から2億5,000万年前の分子化石を発見した、と発表した。
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地球は46億年前に誕生し、生命は(現在の通説に従うのならば)40億年前に誕生した。現在主流である3ドメイン説によれば、全ての地球生命は、真正細菌、古細菌、そして真核生物に分けられる。
古細菌が誕生したのは38億年前だとされており、つまり地球生命の全史のうちの結構な割合をこの古細菌が占めているわけであるが、古細菌の化石(分子化石)は、2億年前を境に、よほど特殊な環境で保存されたものを除いてはほとんど見つからなくなる、という問題がある。
2億年が「化石の形で残っていられる時間的限界」であるのか、そもそも古細菌というのは2億年以上前にはさほど存在しなかったから化石も見つからないのか、それすら定かではない。
だが今回の研究では、中国の約2億5,000万年前の地層の堆積岩試料から、有機分析によって、環構造を持つビフィタン類(古細菌の一種)と、その続成変化生成物を発見することができた。その中には、過去には発見されたことのない続成変化生成物、つまりまったく新しい分子化石も含まれていたという。
また、古細菌に関する既存の研究では、特殊な質量分析計を用いて同定を行う場合が多いが、今回の研究では、より普及している一般的な質量分析計によっても分子化石の同定が行えるという可能性が示された。
これによって、2億年前から38億年前の間という、長きに渡る古細菌研究の空白が今後埋まっていくのではないかと期待されるところである。
なお、本研究の論文はOrganic Geochemistry誌に掲載される。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)