NYの視点:ジャクソンホールへの期待、薄れつつある
2017年8月24日 07:39
*07:39JST NYの視点:ジャクソンホールへの期待、薄れつつある
米国のワイオミング州ジャクソンホールで、カンザスシティー連銀主催の連邦準備制度理事会(FRB)年次シンポジウムが現地時間24日から26日にかけて開催される。先進国の中央銀行は、経済活動が回復する中、長期化する低インフレに悩まされている。このため、中央銀行の総裁がジャクソンホールの講演で、明確な金融政策の大幅な変更を示す可能性は少ないとの見方が強まりつつある。
特に注目度が高い欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁の講演では、前回2014年の演説時に比べて、経済やインフレに前進が見られることが強調される可能性がある。2018年の緩和策縮小の計画を発表する可能性も指摘されている。同時に、前回の定例理事会の議事要旨で指摘されたように、インフレが目標に向けて改善している確かな証拠に欠け、何人かの委員が示したようにユーロの過剰な上昇に懸念を表明する可能性もある。
このため、FRBと同様に、ECBも緩和策を縮小する軌道にあるものの速やかな実施には警戒姿勢を維持すると考える。市場はECBのテーパリングを見越したユーロ買いを進めている。従って、失望売りに、ユーロが下げやすい環境となっている。
FRBのイエレン議長は労働市場の拡大が継続しており、FRBの目標である「最大雇用」に一段と近づいているとの見解を示し、インフレも2%目標達成に向けて改善しており、基本的なシナリオは年あと一回の利上げであることを確認すると見る。同時に、最新7月連邦公開市場委員会(FOMC)議事録でも示されたように、低インフレの長期化への懸念を表明する可能性も残される。従って、ドルも上げにくい。《CS》