どうしても出てこない!「アレアレ症候群」急増中 原因と対策
2017年8月20日 19:55
「人の名前や漢字が思い出せない」「今、何をしようとしたか思い出せない」など、日々の生活において“物忘れ”に悩まされていないだろうか?急速にIT化が進んだ現代社会では、パソコンやスマートフォン、様々な機械など身の回りの利便性が高い道具に、何かと頼りがちになってしまう。しかし、外部に処理を頼りすぎると脳への刺激を減少させ、記憶力の低下や軽度な健忘症などに繋がる恐れがある。
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ネオマーケティングが実施した「記憶力に関する調査」によると、イメージは頭の中に浮かぶのに、該当する言葉が出てこないなどのいわゆる「アレアレ症候群」といわれる現象を体験した人は80%を超えた。「アレアレ症候群」は何故生じるのか。“アレアレ”の原因と対策を考えるヒントとなるのは「記憶」への理解だ。
「記憶」は、3つの過程から成り立っており、第1行程は、入力された対象課題(状況や出来事、事物の名称)を覚える「記銘」。第2行程は、記銘された対象を大脳に保存する「保持」が行われ、第3行程では、課題に応じて必要とされる内容を探し出し認識する(=思い出す)「想起」を行う。また、第1行程に先駆けて、対象課題を認識して意識に上げるという前段階が存在するため、実質、前段階から始まり、記憶の3行程が終了するまでのどこかで処理が上手くいかないと、我々は「アレアレ症候群」に陥ってしまう。
では、どうしたら記憶の行程を円滑に処理し、“アレアレ”を回避することができるのか。
ポイントは大きく3点。まず、対象課題に興味関心を持ち、注意を集中して意識することが重要である。そもそも認識されないものは記憶することが出来ないからだ。次に、強い感情を伴った対象課題は記憶されやすいといった記憶の特徴(情動補強)や、対象課題に関連する事項をある程度塊(チャンク)として記銘および保持すること。関連情報を増やすことで記憶を呼び戻す可能性が大幅に増加する。最後に、「シナプス増強」の利用で、俗に言う“反復法”だ。繰り返し情報が入力されると、記銘、保持、想起が円滑に進む現象で、神経細胞間の情報伝達能力が鍛えられ記憶が増強される。以上を駆使しつつ、生活環境などにも気を配ろう。脳が疲れており機能が低下している場合などもあるからだ。
多忙で余裕がない、対人関係含めストレスフルな日々、不健康な食生活に運動不足。「記憶」や脳の処理速度を低下させてしまう環境をつくりだしてしまっているのは、多忙な現代人の時間節約志向かもしれない。記憶する際はなるべく塊で覚える。思い出す際はすぐにスマホで検索せず、自分の脳の中から関連情報を探し出す。そういった「思い出す力」を鍛える事が“物忘れ”を減らす第一歩だ。(編集担当:久保田雄城)