志望大学ランキング 高校生が大学に求めるものは?
2017年8月15日 11:25
各大学は様々な大学改革の実施や新学部の創設、あるいは広報を展開することで、大学に対する高校生の興味・関心に対してメッセージを送っている。他校との差別化を図る、大学としての“強み”の発信や、“ブランド力”を認知してもらう事が目的だが、高校生側にその意図がうまく伝わらず、認識のギャップが起こりうる可能性がある。
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そういったリスクを回避し、大学側と高校生を繋ぐ試みの一環として、リクルート進学総研は、高校生の大学選びの動向に関する「2017年度進学ブランド力調査」を実施した。高校生を対象に、関東・東海・関西の3つのエリアに分け、各大学の知名度や志願度、大学イメージなどを調査したもので、「高校生の頭のなかにあるイメージを可視化すること」を目的のひとつとしている。
まず注目したいのは「進学希望分野」だ。関東エリアで“資格取得が仕事に直結する分野”の人気が頭打ちとなっており、「人間・心理」「福祉」「地球・宇宙・科学・環 境」は2008年から、「教育・保育」は2012年からそれぞれ減少傾向 にある。一方で、「観光・コミュニケーション・メディア」「国際関係・国際文化」「工学(建築・土木)」 は2008年より総じて増加傾向、「法律・政治」「経済・経営・商」「社会」も現在増加傾向にある。学生の希望分野の変遷については、グローバル化の推進、就職状況改善による影響を感じる結果となった。
ランキング上位に位置する大学での国際関係分野に関する新学部の創設、志望者の安定した人気にも注目したい。イメージ項目別ランキングでの「国際的なセンスが身につく」は、関東エリアで「上智大学」、東海エリアで「南山大学」、関西エリアで「関西外国語大学」が昨年に続きそれぞれ1位となり、グローバルなイメージがある程度定着しているといえる 。「おしゃれな」大学は、関東・東海で「青山学院大学」となった。
志願したい大学ランキングについては、関東で「早稲田大学」、東海で「名城大学」、関西で「関西大学」が1位となった。データをみていくと、昨今の社会情勢を冷静に分析し、その動向に沿った分野を希望する学生が多いことが推測できる。
一方で、大学側の差別化のポイントである「教育方針・カリキュラム」については、近年各大学が力を入れているものの、イメージに該当すると回答があった割合が、上位の大学でも2割を超えておらず、高校生の頭のなかにある「大学への期待」というイメージは別の方向へ向いているようだ。双方の認識のズレの解消が急務となっているといえる。(編集担当:久保田雄城)