「自分らしく暮らす」シニア世代支える事業間連携 高齢者向け市場が拡大

2017年8月15日 08:04

 「超高齢化社会」を迎え、2025年の市場規模は高齢者人口の増加を背景に100兆円規模に拡大する見通しともいわれている。高齢者向け市場の事業開発が活発になっており、その中でアクティブシニアに注目が集まっている。アクティブシニアは高齢者の約8割ともいわれ、健康志向が強く、自分なりの価値観を持ち、仕事だけでなく趣味にも意欲的で、そのライフスタイルや消費行動が、今後の高齢者向け市場を牽引していく事が期待されている。

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 そんな高齢者世代のニーズについて、終末期の医療意向についての調査では“自身の死が近い場合に受けたい医療・受けたくない医療についてどのように考えていますか”との質問に対し「自分のやりたいことや自分の生活を優先した医療を受けたい」(67.3%)と半数以上が「自分らしくありたい」「自分らしく暮らしたい」と感じており、人生の終末期においても生活における持続的な幸福度の向上や豊かな時間消費が求められていることがわかった。

 家計消費支出と公的支出で構成される高齢者向け市場の拡大は、関連産業にとってのビジネス機会であると同時に、財政負担の増加という側面を持つ。それらを念頭に置いた市場の成熟化と持続的な拡大が大きな課題となっている。

 高齢者向け市場には大きく分けて医療保険が適応される医療サービス、医療器具、医薬品などの分野の「医療・医薬産業」、介護保険が適応される在宅介護、居住系介護、介護施設などの「介護産業」、日常生活に関わる「生活産業」などが考えられ、多様なニーズに応えていくためにはいかに高齢者の抱く抵抗感を緩和し、個別分散の弊害をクリアしていくかが鍵となる。その為に、「高齢化チェーン」とも言うべき、商品・サービス提供の事業間連携体制が有効性に注目が集まっている。高齢者の日常生活に則した拠点・接点において、各種の商品とサービスをシームレスに取り扱うことで、利用者に対する認知度を高め、かつ利用者が求める形へと商品・サービスを組み合わせて成熟化させることが可能になってくると考えられる。

 高齢者向け生活産業の市場規模拡大は、新たなビジネスへの大きな参入機会ではあるが、その拡大期間は2020年にかけての8年程度となることから、早急な事業基盤整備が必要だろう。既に、高齢者向け食品、配食、家事代行、見守りサービス、高齢者向けフィットネスプログラム、といった新たな商品・サービスへの取組が始まっており、今後の本格的な普及が期待されている。(編集担当:久保田雄城)

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