国際線就航の29空港でヒアリ緊急点検 確認報告なし
2017年8月12日 10:53
強い毒性を持つ外来種のアリ「ヒアリ」が6月9日に国内で初確認されて以降、大阪や兵庫などで8事例(5港湾、3地点)が報告されている。刺されることでやけどのような強い痛みが生じ、アレルギー反応によるショック死に至ることもある。国内でも外来生物法に基づく特定外来生物に指定されており、生人体への被害だけでなく生態系や農林水産業への影響も懸念されている。
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この問題を受け、国土交通省は7月7日に国際線が就航する国内29空港の管理者に対し緊急点検を要請した。
要請したのは新千歳・函館・福岡・那覇など国管理16空港と、成田・中部・関西の会社管理3空港、旭川・青森・富山・新石垣など地方管理7空港、そして茨城・小松・米子の共用3空港である。
地方自治体や空港会社などの管理者は目視での確認と併せ、貨物ターミナルでコンテナなどの集荷場所に捕獲キットを置き生息状況を確認。28日までに結果報告を行い必要に応じて環境省と連携を図るよう求められていたが、いずれの空港でもヒアリは確認されなかった。
捕獲キット内にはヒアリの餌となるグラニュー糖が入っており、粘着テープにより入ってきたアリを動けなくする仕組み。この捕獲キットを富山空港では富山空港ターミナルビルの職員が貨物ターミナルの屋内と屋外の壁際など合計10か所に50メートル間隔で設置。小松空港では施設を管理する北陸エアターミナルビルの職員2人が出入り口と屋内に計10個のキットを置くなどして対応した。
国交省は、国際航空貨物は高額な精密密機器などを取り扱うことから、船便に比べ管理が厳しく、ヒアリが紛れ込む可能性は低いとみている。しかし、各地の港で発見が相次いでいるため、国際貨物を受け入れている空港での安全確認を徹底することにした。
今後の対応として、引き続き各空港におけるヒアリに対する注意体制を継続すると共に、ヒアリが発見された場合は、環境省等と連携し、しっかり取り組むと発表している。(編集担当:久保田雄城)