そっくりの味で肉汁も出る植物性人工肉バーガー、米当局は安全性認定できず
2017年8月12日 10:42
植物性の原料から製造されながら、牛肉そっくりの味で赤い肉汁も出るという米Impossible Foodsの人工肉バーガー「Impossible Burger」に対し、米食品医薬品局(FDA)が安全性を認定するに足る十分な情報がないとコメントしている(The New York Timesの記事、Ars Technicaの記事、Impossible Foodsのニュースリリース、FDAのコメント入り文書: PDF)。 FDAが懸念を示しているのは、牛肉の味や肉汁を再現する主要な成分となっている大豆レグヘモグロビンだ。レグヘモグロビンは根粒菌に感染したマメ科の植物の根で生成されるヘムタンパク質で、Impossible Foodsでは遺伝子操作した酵母を用いて大豆レグヘモグロビンを製造している。 FDAでは大豆タンパクが人間の食糧として安全と考えられているとする一方、大豆の根は食糧として広く利用されていないことを指摘。大豆レグヘモグロビンを人間が摂取した場合の安全性や、一般的な安全性の認識が確立されていないと述べている。また、一部の大豆タンパクがアレルギー反応を引き起こすことから、大豆レグヘモグロビンについても確認が必要なことなどを指摘している。そのため、現時点では一般に安全と認められるGRAS物質としては認定できないとのこと。 ただし、FDAがGRASとして認定しなくても、使用が禁じられるわけではないという。今回はImpossible FoodsがGRASの認定をFDAに申請しているが、企業が自ら安全性を確認すれば任意の添加物を使用できる。FDAでは安全性の判断について企業に説明を求めることはあっても、必要がなければそれ以上の対応を行うことはないそうだ。それでもImpossible FoodsではGRAS認定を受けるべく、さらなるデータの提出を予定しているとのことだ。 このようなGRAS免除の仕組みが食品の安全をないがしろにしているとの批判も出ており、5月には消費者グループなどが改善を求める訴えを起こしている。