三菱重工が海上自衛隊の新護衛艦を受注、下請けには三井造船
2017年8月10日 21:42
防衛装備庁は9日、2018年度以降における海上自衛隊の護衛艦調達に際し、その主事業者に三菱重工業を選んだと発表した。下請けに選ばれたのは三井造船。新型艦の受注はジャパンマリンユナイテッド、三井造船、三菱重工の3社の間で争われていた。
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公募は2月から行われ、上記3社の企画提案が受領された。1隻あたりの建造費用は約500億円を前提とし、各企業に対して優れた技術を備えた艦艇建造案を募っていたが、2段階の評価作業を経て、最も評価点が高かった三菱重工に決定。
同社が提案した新型艦のスペックは全長約130m、最大幅約16mで、基準排水量は約3,900トン、最大速力は30kt以上。今後は「基本設計に係る技術資料の作成」契約を結び、さらに2018年度以降に建造契約を締結する予定だ。
現在防衛省は、中国の東シナ海進出や北朝鮮のミサイル発射などを受け、海域の防衛や安全確保のため、護衛艦増勢を進めている。
2013年末に改められた防衛計画の大綱では、様々な任務への対応能力向上と船体のコンパクト化を果たした新護衛艦導入を提唱。それ以前の護衛艦48隻体制から54隻体制へ移行、そのうち弾道ミサイル防衛能力をもつイージス艦は8隻に増やすとしている。
三菱重工は日本の防衛産業にて強い存在感を放つ。戦闘機から艦艇、ミサイルまで陸海空どの分野にも対応可能だ。
しかし、近年では新規のイージス艦受注を逃すという事態に見舞われた。受注したのは今回の護衛艦建造にも名乗りをあげているジャパンマリンユナイテッドだ。主にIHIとJFEホールディングスによる出資のもと2013年に設立された同社は、艦艇含め数多くの船舶を建造してきた。
海外から受注した大型客船建造が上手くいかず、2016年までに同事業で巨額の赤字を計上するなど、船舶関連での三菱重工の足取りは思わしくない。巻き返しなるか、期待が高まる。(記事:小椋恒示・記事一覧を見る)