乃木坂18thシングル『逃げ水』が前作割れ!?

2017年8月10日 17:59

 乃木坂46の最新シングル『逃げ水』の初日売り上げが、オリコンのデイリーで71万6千枚あまりとなり1位を獲得した。

【こちらも】乃木坂48、問題曲『アンダー』が予兆する変化とは?

 前作、初めてミリオンを達成した『インフルエンサー』の74万3千枚とくらべると、3万弱の減となったことで、乃木坂人気がピークを越えたという話も聞こえてくるが、充分すぎるほどの数字だと思う。というより、今回のシングルは、乃木坂46第二章へのステップに位置づけられる、いわば実験色の濃いものになっているのだ。

 まず、「握手商法」という昨今では当たり前のような手段の中、握手人気上位メンバーである白石麻衣、西野七瀬、生田絵梨花、松村沙友里らが、不参加、あるいは部分参加となっている。3期生人気が、その穴を埋めているという側面はあるが、錚々たる実績を誇る主力の穴を新戦力が埋められるというのは、逆に世代交代が上手くいきつつある証拠と言えるだろう。

 そしてセンターには、3期から大園桃子と与田祐希が選ばれている。これが1期生であれば、例えば西野七瀬や齋藤飛鳥が悩んだように、「自分がセンターなせいで売り上げが落ちた」という責任感に押しつぶされるところだが、新人であれば、それを理由に許される空気がある。

 さらに今回はアンダー曲がない。というか、以前このニュースでも触れたが、『アンダー』という、これまでのアンダーの歴史を総括するような曲はあるのだが、PVを見ても、あるいはアンダーのフロントメンバーを見ても、現在は選抜、もしくは選抜ボーダーにいるメンバーが主役であり、17thで東京体育館を埋めたアンダーの曲というイメージは希薄なのだ。

 それでも、2期生は2期生楽曲である『ライブ神』という曲が収録されているが、アンダー常連の1期生に関しては、今回撮り下ろしの映像が全くなく、存在感が非常に希薄なのである。このため、斎藤ちはるや、川村真洋のファンは、今回買い控えをして、九州で行われるアンダーライブへの参戦や、秋に発売されるアンダーアルバムに備えると表明している人が非常に多い。

 これだけのネガティブ要素があって、ミリオンにいった前作から、マイナス3万枚というのは、実は非常に意味のある数字だと言えるだろう。

 そしてもう一つ、今作では「世代交代」が大きなテーマになっているのは知らぬものはないが、それが成功しているというのも大きい。実はAKBGを見ても、3期生というのは、非常に特殊な立ち位置になりがちだ。

 0から人気を獲得した1期生、そしてその補完勢力となる2期生というのは、いわばゴールを自分たちで設定してオーディションを受けに来る参加者が濃いのに対し、人気がある段階で応募してくる3期生というのは、そのグループに入ること、アイドル活動をすることが目的という子が増えてくる。

 AKBでも、1期2期…例えば前田敦子や大島優子たちと、3期の柏木由紀や渡辺麻友との間には、不仲というわけではなく、活動に対する温度差みたいなものはどうしても感じた。単純に言えば、3期以降になると、非常にアイドルらしくなるのである。

 AKBでは、3期生が中心のチームBに、1期メンバーの浦野一美、平嶋夏海という教育係的存在を送り込んだわけだが、乃木坂の場合、大園には白石麻衣、与田には西野七瀬といったセンター経験者がしっかりバックアップしつつ、ほぼすべての1期2期生が、濃密なコミュニケーションを取っているように見える。

 ファンの一部は、世代交代を叫んで先輩メンバーを叩く人間や3期生に対して拒絶反応を見せる人間もいるが、全体的にスムーズに受け入れる方向に流れて行っているのは誰が見ても明らかと言えよう。

 今までどのグループも苦戦した世代交代に、乃木坂方式は成功するのか?そういう目で今作の売れ行きを見ると、非常に興味深いのである。(記事:潜水亭沈没・記事一覧を見る

関連記事

最新記事