地獄少女 宵伽 第4話「わたしを深く埋めて」【感想レビュー】
2017年8月9日 11:22
記事提供元:アニメコラムサイト|あにぶ
前回は「放送して大丈夫なのか?」というほどダークな内容でしたが、今回も負けず劣らずの内容。導入から、飛ばしていきます。
■冒頭――
夜の老人ホームで男性従業員から暴行を受けるおばあさん。止めようとした女性従業員まで殴られる!さらには、もう一人のおばあさんまで、別の男性従業員に突き飛ばされて。
虐待のある老人ホームが舞台のようです。
■主な登場人物
さくら:今回、冒頭で藁人形を受け取ったお婆さん。酷いことをする従業員たちをどうにかしたいけど、こんなお婆さんには何が出来るのか。考えた結果、藁人形を手に。年配の方なので、死後地獄に落ちるという事実が、とっても重いです。
民江:さくらさんが施設内で出会った、もうひとりのお婆さん。もう認知症がはじまっているのか、心は子供の頃のよう。冒頭で暴行を受けていた女性です。
柴田つぐみ:同じく暴行を受けていた女性従業員。実は、過去シリーズにも登場していて、閻魔あいと血縁関係にあります。故に、地獄少女の存在を知る人物。
男性従業員たち:お婆さんたちに暴行を振るう、今回のクズたち。
矢野原冴子:矢野原グループの娘。数々の高級老人ホームで稼いでいる。要は、今回の黒幕。老人を金の種としか思っていない、率先して虐待をしているお方。
■輪入道、施設を調査
矢野原冴子は、“真心を込めて接している”と嘘ばかり口にし、表向きは素敵な老人ホームを演出しています。働いている方々も、つぐみさんと一部の新人を除けば、矢野原冴子の取り巻きみたいなクズばかり。
今回、現場に潜入して調査するのは輪入道です。地獄少女組の中では最も人生経験に優れ、容姿もお爺さん。老人ホームへの潜入は適した人物です。
輪入道は藁人形を受け取ったさくらさんと接し、小学校時代の先生に似ているから――という理由で、“先生”と呼ばれることに。民江さんと親しいこと、孫娘に心配をかけたくなくて、元気でやっていると嘘をついていることなどを聞き出します。
お爺さんお婆さんになっても青春は出来る! とでも言うかのように、イイカンジの雰囲気になっていく二人。
外から観察していたきくりは、「ハゲが赤くなってる!」と発言。
きくりの迷言(?)が、暗い物語の中では癒やし的要素に……。限りなく暴言に近いですけど。
「介護する人もされる人も一緒なの。今介護してる人達も、いつかは介護される。みんな、ソレを忘れちゃってるのね」
そう語るさくらさんと、彼女を心配しつつも何も出来ないことを悔しく思うつぐみさん。
■流されたのは
さくらさんは、自分が地獄に落ちることより、人生の最後に人を呪っていいのかどうかを気にし、藁人形の使用をためらっています。
いい人なのに、そんな人ばかりが損をするアニメですね(´・ω・`)
輪入道は毎日施設に通い、さくらさんと接し続けます。そんな輪入道に対するきくりの発言。
「ハゲもあの高級姥捨て山に入居したのか?」
地獄少女シリーズでも1,2を争う名セリフですね、これは。
高級姥捨て山……まさにその通りになっていることが恐ろしいです。
そんなある日、ついにさくらさんまで認知症になってしまったのか、虐待のせいなのか、輪入道のことを忘れてしまいます。さらには、矢野原冴子が報道陣を引き連れ視察にやってきます。新人の女性従業員が虐待の事実を訴えかけるも、とぼける矢野原冴子。さくらさんが記録を取っていると知り、彼女の部屋へ移動。
「記録を取ってたんでしょ! 出しなさい!」
「後がつかえてんの! 入居希望者がいっぱいいるんだから! さっさとくたばりな!!」
ついに言っちゃいましたね。そして、集団での暴行。この時、つぐみさんが秘密裏にしかけていたICレコーダーで録音がなされていたはずなのですが……。
実は、さくらさんはボケたフリをしていただけでした。本当にボケていると思った矢野原冴子は、彼女から聞き出すのを諦め、いつも孫娘とのメールのやり取りに使っていたパソコンをあたります。
しかしさくらさんは、つけていた日記を外に埋め、輪入道との関係も切り、あとに残るものをなくしてから行動を起こすつもりだったのです。
そしてついに、地獄に流される矢野原冴子。介護を模した罰を受けることに。
こうしてトップが変わり、その後も老人ホームの日常へ続く。
■地獄少女 宵伽 は現代の社会問題を鋭く抉(えぐ)ってきてます
というお話だったわけですが。
結局録音したレコーダーはどうなったのか。他の従業員も虐待をしていたわけですが、そちらはどうなったのか。
なんともスッキリしない、いつも通りの終わり方です。前回は家庭問題、今回は老人ホーム問題。実に社会派なアニメです。
本当に、どんどん凄いことになっていきますね。
(あにぶ編集部/星崎梓)
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