ドコモ、農業・漁業向けにIoT・AIを活用 マグロ養殖事業など実証実験

2017年8月9日 07:17

 NTTドコモは8日、1次産業向けにAIを活用した新たなIoTソリューションの提供を9月中旬より開始することを発表した。同ソリューションの提供に先立ち、水耕栽培とマグロ養殖の現場における実証実験を8日より開始した。

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 ドコモが開発した「自然対話エンジン」「画像認識エンジン」等のAIと日本アイ・ビー・エムの「IoT分析プラットフォーム」を連携して、カメラ画像や音声等の情報を蓄積・分析していく。これにより精度の高い解析結果を導き出すことを可能とする。

 水耕栽培の実証実験では北海道七飯町で「アプレ」が運営する水耕栽培施設を利用。IT技術を導入し、ハウス内環境や栽培状況の監視・管理を実施していく。具体的には、季節や天候に左右されやすいハウス内の温度・湿度を常時モニタリングし、窓の開閉や冷暖房のオンオフなど自律的に調節を行う仕組みを実現していくという。

 農業のノウハウはこれまで熟練従事者の経験や知識に依存してきた。今後は高度な栽培ノウハウを数値化し解析を加えることで、経験の浅い従事者でもテキストやチャットを用いたデータベースから回答を得られるようにするという。

 マグロの養殖事業では、双日ツナファーム鷹島および電通国際情報サービスと経営効率改善を目的として、IoT・AIを活用した実証実験を実施する。双日ツナファーム鷹島ではマグロの稚魚を買い付け後、洋上の生簀の中で約3年をかけて育成し出荷してきたが、給餌の量・方法・タイミング等は経験則に依存していたため、最適化が課題となっていた。

 今回、ドコモの支援によりIoT技術を備えたセンサと可視化アプリケーションを導入することで、水温などのデータを可視化することが可能となる。マグロ育成にとって最適な状態を見出し、給餌量の最適化や生簀環境の改善を目指していくという。

 この養殖実験では双日と電通国際情報サービスにより画像解析技術を活用した個体数の自動カウントも実現。個体数の確認はこれまで動画での目視カウントに依存していたため、作業負荷軽減と正確性向上という課題も解決していく。

 IoTやAI、ドローンなどと1次産業は相性の良さが指摘されてきた。農業や漁業はこれまで熟練従事者の経験値に依存してきたことから、可視化することで最適化が大いに期待できる。今後は食や工芸など「職人」が活躍してきた日本古来の技術領域においても、AIなどが活用できる余地があることからその汎用性に期待していきたい。

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