新日鉄住金の意匠性チタン、中国の大劇場「江蘇大劇院」に採用

2017年8月5日 17:55

 中国・江蘇省で8月5日、それぞれに大型劇場を含む4つの建物から成る建築総面積27万平方メートルを誇る巨大な文化施設「江蘇大劇院」がオープンした。その外装に、新日鉄住金の意匠性チタン製品TranTixxiiを使用した、チタン複合材アルポリック/fr TCM(Titanium Composite Material 以下、「TCM」)が、既存の建造物としては最大の採用面積で使用されている。

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 使用面積は7万3,000平方メートル、チタン素材使用量は85トンに及ぶ。

 TCMは、面材にチタンを使用したチタン複合材である。チタン独特の高い意匠性と、抜群の耐食性を備え、また複合材であるため、同じ強度のチタン単材よりも軽いというメリットがある(比重にして、鉄の60%、銅の50%ほど)。不燃性も高く、外装材、屋根材に適する。

 中国における新日鉄住金のチタン材の採用は、北京の「中国国家大劇院」に始まる。その設計者である、世界的な建築家のポール・アンドリュー氏が、TCMを高く評価し、これを採用したのだ。そこから数えて、江蘇大劇院は8例目となる。

 江蘇大劇院は、江蘇省の南京市に位置する。ミュージカル、音楽、戯曲、話劇など、さまざまな芸術分野が集積する現代的な大劇場であり、また、その建物それ自体も、現代アートのような美しさを備えている。上空から見ると、高架式の土台の上に4つの主建造物が蓮の葉のように並んだ構造だ。

 そこにTCMが採用されたのには相応の理由がある。中国国内で過去に採用実績があったこともそうだが、優れた質感を生み出す意匠性と、通常変色しやすいチタンを独自の技術で変色しにくくしたTCMの特徴も評価の対象となっている。

 新日鉄住金は、今後ともチタン製品の建築分野における普及について尽力していきたい、とコメントしている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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