シャープ、老化物質「AGEs」を簡単に検出するセンサー開発
2017年8月5日 14:08
老化物質のひとつであるAGEs(Advanced Glycation End products、 最終糖化産物、エージーイー)の体内蓄積レベルを指尖で簡単に測定するセンサをシャープが開発した。
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老化現象といえば、シワやシミのように見た目でわかるものほど気になるが、加齢に伴う正常な老化である。ところが、不適切な生活習慣により、体内のタンパク質と糖が結びついたAGEsの体内蓄積は、病的老化と呼ばれ、様々な弊害を生むという。そのため、生活習慣のバイオマーカーといわれ、生活習慣の良し悪しの指標となる。
今年2月24日、シャープは鴻海精密工業の子会社と業務提携し、ヘルスケア・メディカル関連事業の分社化及び合弁会社化を設立、ヘルスケア分野を重点市場に据えた。今回の開発は、分社化したシャープライフサイエンスが実施した第一弾となる。
●AGEsの測定原理
AGEsのなかには、特定の励起光を照射すると蛍光を放つ性質を持っているものがあり、この性質を利用してAGEsを測定するという。測定部に挿入された指尖に、励起光を光源からレンズを通して照射することで、指尖から特殊な光(経皮蛍光)を取得する。この経皮蛍光の量は、研究機関の血液分析により、体内をくまなく巡っている血液中のAGEsの一種との相関が確認されており、間接的に体内に存在するAGEsを推定する。
●AGEsセンサの特徴
シャープ開発したセンサは、手のひらよりもひとまわり大きな器具へ、左手中指を測定部に挿入するだけで、AGEsの体内蓄積レベルを簡単に測定するという。指尖に近紫外光を照射し、体内のAGEsの経皮蛍光の量を測定・解析することで、蓄積レベルを算出する。血液を採取しないため、30~60秒の短時間で測定できる。なお、測定したAGEs蓄積量はスコア化して、A~Eの5段階評価で表すほか、同世代と相対比較し、順位(1~100位)で示すという。
●AGEsセンサ(シャープ、非侵襲のAGEsセンサ)のテクノロジー
医療機関での採血・検査を必要としない非侵襲のAGEsセンサの実用化は、世界初とみられる。それは、AGEsが発する経皮蛍光が微弱なことに起因するようだ。実際に測定部位の指尖には、経皮蛍光を測定する場合に問題となるメラニンがほとんど含まれないことから、肌の色や日焼けの影響が低いという。独自の光学設計技術や信号検出回路技術を活かして、微弱な経皮蛍光を捉えていると思われる。
なお、製品は医療機器としての申請・審査は受けていないため、測定した結果を治療、診断などの医療行為に用いることはできない。AGEsに加えて、血圧や消費カロリーといった他のセンサで取得したデータと合わせて、ヘルスケアでの用途拡大を目指すのであろう。(記事:小池豊・記事一覧を見る)