英国、EU離脱後もフィンテックへの多額の投資
2017年8月4日 07:28
*07:28JST 英国、EU離脱後もフィンテックへの多額の投資
ある統計は、2017年の最初の6ヶ月間に、英国のフィンテック企業に50万ドル以上が投資されたことを示しており、この数字は昨年より3分の1以上上回っている。
貿易機関のInnovateFinanceによると、これは英国EU離脱(Brexit)の不安定性があるにもかかわらず、英国がフィンテック産業で遅れを取らないようにしていることを示しているという。
TheIndependentによると、今年上半期、フィンテック企業は、ベンチャーキャピタルから5億6,400万ドルを調達した。これは、2016年上半期の数字から37%の増加である。しかし、この数字は2015年にベンチャーキャピタルが調達した12億ドルを下回っている。だが、フィンテックへの投資が上昇傾向を続けることができれば、2015年の数字を塗り替えることは難しくはない。
昨年6月、欧州連合(EU)を離脱するという英国の票決後、多くの人が英国へのフィンテック投資が減速し、同国が金融テクノロジーの中心地としての地位を失うと懸念した。
送金会社であるTransferWise社など、多くの企業は、本社を英国外に移転することを決めた。TransferWise社は、EU単一市場へのアクセスを維持するため、4月に欧州本社をロンドンから別の場所へ移すことを明らかにした。
しかし、InnovateFinanceの最新の統計によれば、英国のフィンテック産業は依然として有望であることが証明されている。欧州連合(EU)離脱の投票後、2016年の後半には投資は約50%アップしている。
InnovateFinanceの最高財務責任者(CFO)、AbdulHaseebBasit氏は次のように述べている:
「昨年の夏に不安定な期間を経験したが、私は今年の第3四半期頃には回復し始めると考えています。」
4月、英国金融庁(FCA)の戦略競争ディレクター、ChrisWoolard氏は、EU離脱の投票後にフィンテック産業がどのようになるかについての懸念があったと述べた。
Woolard氏は次のようにいう
「欧州連合(EU)の国民投票の直後に、英国での運営を希望する革新的な企業の数が減少することが懸念された。」
Brexitの投票に向けて、英国金融庁は264の企業からの規制対応要請を受けていた。そしてそれ以来、その数は300以上に増加した。
■パスポート権の懸念
EU離脱当初、金融テクノロジー企業は、EU内でライセンスをもつ会社が自由にEU内で取引できる権利であるパスポート権を失うと懸念されていた。
しかし今、その懸念は緩和されているように見える。InnovateFinanceによると、もしイギリスがパスポート権を失うと、これはInnovateFinanceのメンバーである約300のスタートアップの内、約20%の会社しか影響を与えないという。
Basit氏によると、国民投票以来、フィンテックの技術がナンバーワンの懸念事項であるという。「今も心配しており、もっと確実にするまで依然として心配の種でしょう」(出典:CryptoCoinsNews)
■エムトレの視点
英国のEU離脱はいまだ内容が完全にまとまっておらずその行く末は未知数だ。EU単一のマーケットではなくなるため、金融機関を始め多額のコストが見込まれている。その中で、ベンチャーキャピタルは依然として英国への投資意欲を失っていないのは興味深い。英国の経済指標をみても現在のところ英国の経済は順調に推移しているようだ。Brexit後どのようになるのかは依然として不明であるが、新しいイノベーションが英国から生まれる日も近い。
【ニュース提供・エムトレ】《FA》