F1並みの切磋琢磨でAIの能力向上に賭ける ロボカー発進(上)

2017年8月4日 07:43

 フランスとイギリスが2040年に電気自動車(EV)以外の自動車の販売を禁止する方針を打ち出して以後、それまで動きの少なかった国内メーカーにもEVに対する世界の潮流を意識した動きが出てきたが、EVは人工知能(AI)とセットにした自動運転とすることで、より高いクオリティを実現させようとする多様な動向が顕在化してきた。

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 EVとAIの融合を大胆に進め、期待される可能性を最大限に引き出そうとするレースが今秋から開催される。

 モータースポーツのポテンシャルを、最先端技術の結集により日々向上させてきたフォーミュラ1(F1)というカテゴリーについて、今更説明の必要はないだろう。F1の駆動装置をモーターに置き換えて、F1とは別に3年前に発足したのがフォーミュラE(FE)というカテゴリーだ。

 そして、その歩みをさらに加速させ、ドライバーをAIに置き換える発想につなげて、「ロボレース」としてAI(ソフト)の優劣を競うこととなった。

 ロボレースを支援する英国のベンチャーキャピタル、キネティック社が車体を製造して提供する。時速320km以上のスピードで走行する第一級のマシンだ。参加チームはすべてこのマシンを使用する。同一のマシンを使用することにより搭載されたAIの優劣が誰の目にも明らかになるという発想だ。

 バッテリーは全車共通で200kgのリチウムイオン電池を使用。レース中の最大出力は170kWと基準が決められている。ただし、インバーター、モーター、トランスミッションはそれぞれのチームごとに改良・改善・工夫が認められ、裁量の余地がある。
(中へ続く)(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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