シジュウカラは人類以外で唯一、文法を操ることができる 京大の研究
2017年7月31日 06:53
京都大学生態学研究センターの鈴木俊貴氏らの研究グループは、鳥類のシジュウカラが、文法のルールを鳴き声に当てはめ、初めて聞く鳴き声の組み合わせであっても正しく「文章」として理解することができる、という事実を明らかにした。
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シジュウカラは鳥類スズメ目シジュウカラ科シジュウカラ属に属し、ユーラシア大陸東部や日本に広く分布する。大きさはスズメと同じくらいで、ツィピー、ツィピーと鳴く。
絶滅危惧種でもなければ、これといった家畜利用が知られているわけでもない。ありふれた、日本でも馴染みのある、小さな野鳥に過ぎない存在であった。
ところが2016年、総合研究大学院大学の研究チームによって「知られている限りではヒト以外において唯一、文章を理解する能力がある生物種である」という可能性を示す研究報告がなされ、にわかに注目が集まることとなったのである。
一部の高等霊長類に特殊な学習を行わせると、ある程度の言語能力を習得し得ることは既に知られている。かつてワショーと名付けられたメスのチンパンジーは、人類以外の存在として初めて、手話を習得したとされる。図形を用いた文字によって単語を記憶し、短い文章を操るチンパンジーやボノボの例は何例か確認されている。
しかし今回の発見はそうしたものとは異なる。今回明らかになったのは、シジュウカラは「初めて耳にする文章であっても、文法構造から内容を正しく理解し、派生する文意を理解できる」という事実だ。文法を用い、新しい文章や複数の言語が混在した文章から意味を理解する能力がヒト以外において確認されたのは、これが初めてであるという。
今後の研究としては、シジュウカラの持つ文法ルールのさらなる解明と、シジュウカラの言語の「品詞」の解明などが考えられている。
なお、研究の詳細は、Current Biology誌にオンライン掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)