経営課題山積みのジャパンディスプレイ 下請企業の合計は全国で2391社

2017年7月29日 12:24

 中小型液晶パネル大手のジャパンディスプレイ<6740>の経営問題が、ここにきて再燃している。2017年3月期の連結売上高は前期比10.6%の減収、300億円超の当期純損失を計上し、3期連続の赤字となった。主力得意先アップルからの受注減少、液晶から有機ELへのシフト、足元の資金繰りなど、早急に対応しなければならない課題が山積している。一部では国内生産拠点の合理化の可能性も指摘されるなか、全国各地にある当社下請企業への影響も懸念される。

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 帝国データバンクは、企業概要データベース「COSMOS2」(2017 年 7 月時点、147万社収録)の中から、ジャパンディスプレイグループと直接、間接的に取引がある下請企業(一次下請先、二次下請先)を抽出し、都道府県別、業種別、年商規模別に集計・分析した。

 ジャパンディスプレイ(JDI)グループの「一次下請先(仕入先)」は184社、さらに一次下請先と取引を行う「二次下請先」は2207社。この結果、直接、間接的に取引がある下請企業の合計は全国で2391社を数えることが判明した。なお、これら一次下請先、二次下請先の総従業員数(正社員)は 12 万 5969 人。

 都道府県別に見ると、一次下請先、二次下請先ともに「東京都」が計534社(構成比22.3%)でトップ。「大阪府」(計456社、構成比19.1%)がこれに続いた。主な生産拠点のある県では、5位の「愛知県」(計162社、同6.8%)、9位の「千葉県」(計68社、同2.8%)、13位の「石川県」(36社、同1.5%)、23位の「鳥取県」(14社、同0.6%)。

 業種別に見ると、一次下請先では「産業用電気機器卸」が19社(構成比 10.3%)で最も多い。以下、「半導体製造装置製造」(15社、同8.2%)、「化学製品卸」「ソフト受託開発」「精密機械器具卸」「一般機械器具卸」(各8社、同4.3%)の順。

 二次下請先では、「産業用電気機器卸」が159社(構成比7.2%)でトップ。以下、「精密機械器具卸」(78社、同3.5%)、「一般機械器具卸」(77 社、同 3.5%)などが上位に名を連ねた。

 年商規模別に見ると、「1億~10億円未満」が最も多く、一次下請先・二次下請先の合計で1264社(構成比52.9%)を数え、過半数を占めた。「1億円未満」(294社、同12.3%)と合わせて、全体の 65%強が年商 10 億円に満たない中小事業者で占められることが分かった。

 ジャパンディスプレイの業績悪化に歯止めがかからない。主力得意先アップルからの受注減少、液晶から有機ELへのシフトなどの課題に直面し、業績回復に向けたシナリオも未だ見通せないままの状況が続いている。このため、国内生産拠点の合理化等を含めた抜本的な構造改革が不可避の状況に追い込まれつつある。

 仮に、千葉、石川、愛知、鳥取の各県に立地する工場の統廃合にまで踏み込むことがあれば、地元下請企業への影響は小さくない。そこまでのリストラ策に踏み込まなくても、同社グループの今後の業績次第では少なからず影響を受けるだろう。

 8月9日に予定される 2018年3月期第1四半期決算発表とともに、具体的な構造改革案の中身に注目が集まる。今回の調査で判明した下請企業<資本金 3億円以下、製造業、卸売業、サービス業の3業種>の合計は全国 2391 社にのぼり、なかでも同社グループと直接取引関係のある1次下請先184社を中心に、これら下請企業への影響は引き続き注視する必要があるとしている。 (編集担当:慶尾六郎)

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