世界の自動車業界、EVへの潮流強まる 日本メーカーはどう乗り切るか?

2017年7月27日 11:59

 世界がEV(電気自動車)化への動きを加速させている。

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 国別では、6日にドイツで開催されたG20首脳会議を目前に、フランス政府が地球温暖化対策として40年までに国内のガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する方針を明らかにした。25日には英メディアが、英政府が40年までに完全に電動化された以外のすべての新車は、販売を禁止する方針を発表すると一斉に報じた。

 オランダやノルウェーでは、25年までに内燃機関の車(ガソリン車やディーゼル車)の販売を禁止する動きがある。ドイツでは連邦参議院(上院)が昨秋、30年までにガソリン車などの車の販売を禁止する決議を採択した。決議に拘束力はないが、欧州最大の自動車大国でさえこうした議論が公にされている。

 アジアでは4月、インドのゴヤル電力・石炭・再生可能エネルギー相が「30年までに販売する車をすべてEVにする」と意欲的な計画を表明した。中国が来年にも導入すると目されている新エネ車の規制(米国カリフォルニア州の、走行中に排出ガスを一切出さない、ゼロ・エミッション・ビークル規制を想定させる)では、中国内の完成車メーカーの事業規模に応じて一定の新エネ車の生産、販売を義務付ける(日本が得意のHVは除かれる)。

 自動車メーカーでは5日、スウェーデンのボルボ・カーが2019年以降に発売するすべての車を電気自動車(EV)やハイブリッド車などの電動車にすると発表した。ドイツの自動車大手3社(ダイムラー・フォルクスワーゲン・BMW)は、電気自動車(EV)を前提とした新しいプラットフォーム(PF)を、2019~2020年にそろって投入する計画を立てている。

 電池技術の進化と価格の引き下げはさらに加速している。

 EVのネックと指摘された航続距離の短かさという課題は、電池技術の進化で克服されつつある。ルノーは充電1回の航続距離を400キロメートル(欧州基準)に伸ばしたEVを発売し、フォルクスワーゲングループは、2020年頃に航続距離が400~600kmを走れるEVを投入すると見込まれている。

 リチウムイオン電池は技術革新につれて価格の引き下げが進み20年代前半に、1kWhあたり1万2000円を下回り、次世代電池技術である全固体電池が実現する25年以降には、価格は1kWhあたり6000~8400円になるという見通しがある(リチウムイオン電池は14年前期にkWh当たり5万7300円程度だった)。

 以上の動きを見ていると、HVで温度差は感じられるものの全体的な潮流はEV(電気自動車)に向かっていると見て間違いない。ひるがえって我が国の自動車メーカーの動きを見ているともどかしいと言わざるを得ない。携帯電話からスマホへの動きを見誤った電機メーカーの過ちが、再び繰り返されないことを望むのみである。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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