Adobe、Flashのアップデートや配布を2020年末で終了すると発表
2017年7月26日 16:26
米Adobe Systemsは25日、2020年末をもってFlashの提供およびFlash Player(現在は「Adobe Animate」という名称になっている)のアップデートと配布を終了すると発表した。終了までの間も新機能は提供されず、セキュリティアップデートのみが行われる。この発表を受け、Edge、Chrome、Firefoxなど、主要なブラウザを提供している各社も、段階的にFlashの再生はデフォルトで「無効」としていくことを発表した。
【こちらも】Adobe Flashを殺したのは誰か
Flashは1996年にMacromedia社の「Macromedia Flash」として発表。オープンフォーマットとしてインタラクティブなコンテンツや音楽再生、Web動画の作成に使われ、一時はYoutubeの標準フォーマットでもあった。またShockwaveとともにゲーム、動画、教育用コンテンツなどで多用されていた。これらのコンテンツにはまだFlashを使用しているものも多いが、2020年までに他のフォーマットへの移行を迫られることになる。
Flashには脆弱性が多く、大きなセキュリティリスクがあるとされており、攻撃者にリモートでシステムを制御されるなど、多くのゼロデイ攻撃に利用されてきた。ゼロデイ攻撃とは、既知の脆弱性に対処する修正プログラムが提供される前に、その脆弱性を利用して攻撃されることだ。
さらに、iPhoneを始めモバイル端末のブラウザの多くがFlashの再生をサポートしていない。PCよりもモバイル端末で見られているWebサイトが多くなった現在ではFlashを使わないサイトが主流となっている。Youtubeも、HTML5を標準のフォーマットに変更した。
また近年動画を始めとするリッチコンテンツの技術が進み、HTML5では動画についても定義された。WebGL、WebAssemblyなどといった、他のオープンスタンダードな規格も登場し、インタラクティブな機能を提供している。そのため、Flashを使用する場面はほとんどなくなってきた。
Adobe SystemsはこれからもHTML5標準やWebAssemblyなど、Webアニメーション技術への協力を続け、Animate CCやPremiere Pro CCなどのツールを提供するとしている。(記事:成瀬京子・記事一覧を見る)