ビットコイン、8月1日の分裂リスクに備え国内13取引所が取引停止へ

2017年7月25日 08:32

 日本仮想通貨事業者協会は、8月1日に予想されるビットコインの仕様変更(フォーク)に備え、ビットバンク、テックビューロなど同協会に加盟する13の仮想通貨取引所でのビットコインの受け入れ・引出を停止すると発表した。8月1日0時のビットコインの取引停止となり、8月4日16時までの再開を目処に仕様変更を実施するとしている。

【こちらも】8月1日、ビットコインに何が起きる?分裂問題とは (前編)

 ビットコインは、直前の取引データをブロックに書き込むという仕組みで成立しているが、記録できるサイズが1MBという限界があることから、利用者の増加に伴うデータ量の増加により送金に順番待ちが発生するなどの課題がある。これを改善する仕様として、ブロックサイズはそのままに、取引情報を圧縮して(SegWit)書き込めるデータ量を増やす「ソフトフォーク」と、ブロックサイズ自体を大きくする「ハードフォーク」がある。

 従来ビットコインでは、取引の承認作業を実施する「マイナー」がルールを決定しており、マイナーの95%が賛同の意思表示することで仕様変更が有効化される仕組みを取っていた。これに対して、2017年3月に「BIP148」という提案書がインターネット上で公開され、取引を行うユーザーに主導権を移したソフトフォーク(UASF)が提案されている。UASFが強制適用される設定条件が8月1日で、これが実行されればビットコインは、レガシーチェーン、UASFチェーン、ユーザーを主導としたハードトフォーク(UAHF)チェーンなどに分裂する可能性が出てくる。

 

 ただし、分裂により保有していたビットコインの価値が下がるなどのリスクは大多数のマイナーにとっても望まれるものではない。このため現在は、マイナーの賛同閾値を80%まで下げてオリジナルのSegWit「BIP141」を実装しようという提案「BIP91」が支持を集めており、「BIP148」が否定される可能性が高まっている。すでに21日9時に「BIP91」のロックインが確定。順当にいけば23日19時前後にプログラムが発動する見通し。

 SegWit2xが「BIP91」を利用した仕様となっているが、同仕様では、基本はソフトフォークでありながら、ブロックサイズを2MBまで大きくするハードフォークの性質を持つ。3か月後の11月にハードフォーク適用に関しての審判があり、ここでもさらに分裂の危機が訪れるとの見方もある。ビットコイン成長期における不安定材料は後を絶たない。(編集担当:久保田雄城)

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