NECの顔認証技術、夏季デフリンピック大会で採用 テロ対策も兼ねるか?
2017年7月19日 18:43
NECがトルコのサムスンで開催される第23回夏季デフリンピック競技大会向けに、顔認証技術を活用した入場システムを提供する。夏季デフリンピックの重要なセキュリティの手段として、顔認証システムが採用されるのは初めてという。
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●選手、観客、スタッフの動画像を事前登録写真と照合
夏季デフリンピック競技大会は、4年に1度開催される聴覚障害者のための国際スポーツ大会である。7月18日(火)~30日(日)に開催される今回の大会には、109カ国・地域から5,000名以上の選手が参加し、計21競技が行われる。そのセキュリティの手段として採用されたNECの顔認証システムでは、選手、観客、スタッフなどの動画像と事前に登録された顔写真を照合し、本人を確認する。これにより、スムーズな入場を実現するとともに、会場に設置された30カ所の入場ゲートにおいて、なりすまし入場や不正入場を防止し、安全・安心な大会運営に貢献するという。
確かに、なりすまし入場やチケット転売などの課題への対策も重要であるが、テロ対策への試行的な対応も含まれているのではと感じるのは、著者のみではないであろう。セキュリティ対策への課題と対応の詳細が、常に事前にアナウンスされるわけではない。3年後には、東京オリンピックも控えており、セキュリティ対策の強化が望まれる。
●NISTのベンチマークテストにおいて4回連続で1位獲得
世界的権威を持つ米国国立標準技術研究所(NIST)による初の動画顔認証の評価プログラムが今年3月に開催され、NECの顔認証システムは、そこで最高評価を獲得したという。動画の顔認証は、静止画の顔認証と比べ、リアルタイムでの複数人の同時認証や様々な環境要件への対応が必要となり、処理の難易度が増すことは想像に難くない。照合精度99.2%は立派だ。
●顔認証システム(NEC 顔認証システム NeoFace)のキーテクノロジー
このシステムは、NECの最先端AI技術群であるNEC the WISEの一つであるという。
キーテクノロジーは、顔検出技術、特徴点検出技術、及び、顔照合技術から成り、AIの深層学習も取り入れているようだ。顔検出技術は、画像中で顔がどこにあるかを検出し、特徴点検出技術は、瞳中心、鼻翼、口端など顔の特徴点位置がどこにあるかを見つけ、 顔照合技術では、検出された顔が誰であるかを判定するという。(記事:小池豊・記事一覧を見る)