太陽光発電の関連企業の倒産が急増、年間100件超の可能性も
2017年7月18日 15:32
帝国データバンクの調査によると、太陽光発電関連企業の倒産が急増している。2012年7月に開始された「再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)」を契機に各企業が参入した太陽光発電であるが、その後、電力の買取価格が連続して引き下げられブームは沈静化。宴の後との状況を示しつつある。
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14年以降増加している太陽光発電関連企業の倒産件数であるが、17年上半期は50件となり、前年同期の23件に比べ大幅に増加(前年同期比2.2倍)。16年の倒産件数は67件であったが、上期のみで16年の倒産件数に迫る勢いである。尚、15年は36件であり上期の段階で倒産件数は15年を超える結果となっている。
これまでの太陽光発電関連企業の倒産は、太陽光パネル設置工事業者のような中小企業の破綻が多かったものの、17年は負債総額20億円超の企業の破綻が9社発生しており、破綻企業の大型化が進んでいる。また太陽光発電パネルの製造会社、太陽光発電パネル製造装置メーカー等の太陽光発電ビジネスの本丸とも言うべき企業の破綻も発生しており、太陽光発電関連の事業環境の厳しさを表している。
上期の状況が継続の場合、17年も太陽光発電関連企業の倒産は過去最高値を記録する予定である。現状月間倒産件数が10件前後で推移しており、現在のペースからは通年の倒産件数は100件を超える可能性も生じている。
電力の買取価格は、3年後の19年まで更なる段階的な引き下げスケジュールが示されており、太陽光発電関連ビジネスは今後も事業環境の好転は望めない状況にある。
再生エネルギーの本命と言われていた太陽光発電も、買取価格の引き下げにより既にブームは去っている状況である。買取価格の引き下げが継続する中、今後も太陽光発電関連企業の淘汰が継続される見込みである。ただし一方で、ブームが去った中でも、メガソーラー発電所の立地は進み、また家庭用太陽光発電パネルの普及も一定程度は進んでいる。最終的に日本ではどのような形で太陽光発電の市場が着地することになるのか、今後の行方に注目したい。(編集担当:久保田雄城)