8月1日、ビットコインに何が起きる?分裂問題とは (後編)

2017年7月13日 19:08

 また、取引のサイズを圧縮して、ブロックにたくさん入れられるようにする(セグウィットという)と、1度にたくさんの取引が処理できるようになる半面、マイナーの手数料が安くなる可能性がある。更に、ノードと呼ばれるコンピューターをセグウィットに対応するものに換えなければならない。手数料を下げたくないのと、コストがかかることを嫌うなどの理由でセグウィットに対応していないマイナーが大多数だ。2017年1月の時点ではマイナーの27%がコンピューターを変えているが、これが95%以上にならないと、セグウィットが有効にならない。

【前編は】8月1日、ビットコインに何が起きる?分裂問題とは (前編)

 つまり、どちらの方法も現状ではスケーラビリティ問題を解決する特効薬たり得ないということだ。ビットコインでは今年11月にセグウィット採用の可否が判明する予定となっている。ちなみに、先週は日本産のモナーコインが世界で初めてセグウィットの採用を決定したために価格が高騰し、今週はライトコインのセグウィット採用が決定し、決定の数日前から期待買いの高まりによってライトコイン価格が高騰した。セグウィットを採用することが市場の信頼につながり活況を呼び込む図式が見える。

 上記のように、ビットコインの急速な普及によって、容量と処理能力の早急な見直しを図るべき問題が認識されてきた。しかし、マイナー側と利用者側との調整が進まないため、利用者側が新たな枠組みを作ると予告した日が8月1日なのだ。新たな枠組みを分裂と表現するとして、現状では分裂によってどんな影響が出るのか、全く見えていない。一部の取引所は8月1日前後にビットコインの取引を一時中止することも検討している。この懸念があるため12日の大幅な安値につながった。

 ビットコインは揺籃期にある。期待と恐れが交互に現れ、満足と不満が交錯する。おまけに、新しい動きがどんな結果に結びつくのか、見通せる人はいない。逆に、ビットコインのスケーラビリティ問題が解決すれば、市場からの信頼度が再び上昇し、ビットコインの価格が上昇する可能性もある。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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