乃木坂18thシングル選抜発表で見えた希望と問題

2017年7月12日 16:17

 7月10日、テレビ東京系『乃木坂工事中』において、乃木坂46の18thシングルの選抜発表が放送された。

【こちらも】全国ツアーも大盛況の乃木坂、ファンの質もさらなる向上を

 前作17thシングル『インフルエンサー』では21人選抜という大所帯だったが、今回は18人に絞られ、3期生大園桃子と与田祐希の2人がWセンターという形で抜擢、いよいよ乃木坂の世代交代が進んだことを印象付ける選抜発表となった。

 乃木坂の3期生は、発表当初から粒揃いでかなりの期待と人気を背負っており、握手会でも完売が続出している状況だ。冠番組である日テレ系の『NOGIBINGO8』では3期生メインの構成になるなど、恵まれてもいるが、それ以上に結果を残しており、これまでレジェンド化した1期生が卒業するたびに弱体化してしまっている、他のアイドルグループの轍を踏まないように考えられているようにも見える。

 今回の発表も、2期生だった堀未央奈をいきなりセンターにしたときに吹いた逆風、バッシングのようなものはあまりなくファンも納得したものだったようだ。

 ただ、その一方で、この選抜システムが、ある種の飽和状態になっているという問題も浮き彫りになった。

 今回、選抜から外れることになったメンバーの内、選抜の指標になる握手会で完売を出しているメンバーもいる。CMや冠番組に出演して、爪あとを残したものもいる。もはや、選抜に入るべき資格を兼ね備えながら、外れてしまうものがはっきりと出てきたのである。

 初期の頃、乃木坂のアンダーといえば悲惨なもので、冠番組であった『乃木坂工事中』も、基本的に出演するのは選抜のみ。当然、歌番組も、あるいはバラエティ番組のゲスト出演も選抜だけであり、とにかく仕事らしい仕事もなく、選抜に入らないことには始まらないという状況であった。

 だから、その頃の選抜発表は常に重苦しい空気が流れ、入っても泣き、落ちたら死んだような顔を隠すことすらできない状況。遅れて合流した秋元真夏に序列で抜かれた西野七瀬がわだかまりを作ってしまったのも、ある意味それだけ序列に重みがあったからといえるだろう。

 それだけに、ファンは自分の推しを選抜に入れるために必死になり、ある意味毎回の握手会が、AKBの選抜総選挙のような様相を呈し、そこから衛藤美彩や齋藤飛鳥といったメンバーが選抜、さらにはフロント入りをさせてきたという結果がある。

 だが、今回のように、握手において完売を出したメンバーが選抜落ちをするようになると、そのモチベーションを維持することは難しくなる。

 選抜発表のたびに「マンネリ化」という抗議の声はあっても「悔しかったら握手完売させろ」と言われると黙るしかなかったわけだが、これまでも、握手に弱いと言われた生駒里奈やスキャンダルで人気を落とした時の松村沙友里は聖域化されていたわけで、もはや握手会の売り上げを指標に選抜を決めるというシステムは説得力を失いつつあるのではないだろうか?

 その一方で、今のアンダーは個々のメンバーの魅力が輝きだし、序列関係なしに、個人の力で勝負していく梁山泊のような凄味がある。

 将棋番組のレギュラーとなる一方、そのクレバーさと親しみやすさで「有能」の代名詞となっている伊藤かりん、3度目の舞台も決まり、女優としての大器を感じさせる伊藤純奈、同じく舞台仕事で女優として風格すら感じさせる能條愛未、ヤングギターの連載も再開し、アーティストとしての存在感を強くした川村真洋、アンダーセンターを経験し、一回り大きくなった渡辺みり愛、愛されキャラから、スタイルのいい綺麗なお姉さんへ脱皮しかけている和田まあや……そこに3期生の山下美月や久保史緒里らが合流するとなると、もはや選抜とアンダーのくくり自体が違和感のあるものになってくる。

 先ほど行われた全国ツアー神宮球場でアンダーアルバムの発売が発表されたが、今後乃木坂のシステムそのものが、少しずつ変わっていく前兆になるのかもしれない。(記事:潜水亭沈没・記事一覧を見る

関連記事

最新記事