火山は1万年の休眠を経てもなお活動を再開 男体山が活火山に
2017年7月2日 07:38
6月に開かれた火山噴火予知連絡会において、有史以来噴火の記録が残っておらず、また噴煙などの活動もない栃木県の男体山(なんたいさん)が、新たに活火山と認定された。7,000年前に噴火していた痕跡が発見されたためだ。
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「休火山」、「死火山」、という言葉がある。かつては「活火山」とともに火山の分類として広く使われていたのだが、現在では実質的に死語となっている。火山ではあるが噴火の記録が歴史上に存在しないものが死火山、現在は活動していないが文書などに噴火の記録があるものが休火山とされた。例えば、この定義でいえば富士山は休火山となる。
だが、その後の研究や実測により、過去1万年のあいだ噴火がなかったとしても火山は活動を再開する可能性がある、ということが知られるに至り、現在では、「1万年以内に噴火した火山、ならびに現在活発な噴気活動のある火山」が活火山であるとされている。
実際に、南米チリのチャイテン火山は、2008年に噴火したが、これは9,400年ぶりの火山活動であったと考えられている。この時、噴火の予兆の地震があったのはわずか27時間前のことであった。9,400年間活動していなかった火山が、突如として、大噴火を起こしたのである(なお余談となるが、このとき直接的な人的被害はなかった)。
また、日本で長期間の休眠のあとに火山活動が起こった例としては、1979年の御嶽山(長野県)噴火がある。御嶽山が噴火した記録は残っておらず、火砕流の痕跡などを見ても、最低でも5,000年は活動していなかったと見られるという。
男体山についていえば、最後の噴火は1万2,000年前であるとされていたが、最近になり、7,000年前にも噴火していたことが分かったため、活火山であるとみなされることになったわけである。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)