Googleが進める機械学習の民主化とは

2017年6月28日 11:37

 機械学習やディープラーニングが、あらゆるものを最適化する技術という認識は一般的になりつつあるが、実際にこれを活用しようとすると、プログラミングや数学に関するスキル、そして膨大なデータセットや計算リソースを必要とすることから、現在は開発力とマシンリソースを持つ企業の専有物のように捉えられている。世界中の人に最適な情報アクセス手段を提供し続けてきたGoogleは、ここ最近、機械学習をより手軽で誰でも簡単に試せるようなものにしようとしている。

 ディープラーニングでは、パラメータの数が膨大で、熟練のデータサイエンティストでさえ、目的の解析に適した組み合わせを試すことや、新たなセットアップと比較することに手を焼いていた。Googleは米国時間6月19に、機械学習のモデルやデータセット、そのほかのパラメータの新しい組み合わせを誰もが手早く試行するためのライブラリ「Tensor2Tensor」をリリースしている。また、ディープラーニングを試す際にまず必要となるデータセットに関しては、同社が買収したデータサイエンスコンペのプラットフォーム「Kaggle」にて、すでに多くが提供されている。

 さら同社はAppleやFacebook同様、モバイルで機械学習のモデルを動かすことに注力している。すでに単純化された機械学習フレームワーク「TensorFlow lite」を5月にリリースしているほか、米国時間6月16日には、軽量なニューラルネットワークのモデルを使って画像中のオブジェクトを認識する「オブジェクト検出API」をリリースした。こういったモバイルに最適化された機械学習モデルでは、クラウド上のリソースを利用することなく分析が完結できる。

 さらに身近なリリースとしてはGoogleスプレッドシートでのグラフ作成機能がある。グラフ作成機能については以前から存在していたが、自然言語での「データ探索」が可能になるなど(英語版)、機械学習を利用してどんどん賢くなっている。機械学習モデルを含んだツールがよりシンプルになることで、将来的には、一般の人でも手元のスマートフォンから機械学習を有効活用できるような時代が来ると見込まれる。(編集担当:久保田雄城)

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