ユニセフ、先進41カ国の子供の格差を調査 日本はワースト10位に

2017年6月27日 07:21

 世界的な貧困の格差拡大が指摘されるなか、国連児童基金(ユニセフ)が先進41カ国における子供の貧困や格差など、10分野の状況を順位付けした報告書を公表した。同報告書には、日本が「格差による不平等の解消」の項目でワースト10に入るなど、必ずしも先進国全ての子供が進歩の恩恵を受けているとは限らないことが示されている。

 貧困や格差の順位は、世帯所得の差などを基に算定され、両分野とも上位3位は北欧諸国が独占している。日本は、飢餓の解消が1位、健康福祉は8位、質の高い教育は10位と上位にランクインする一方、格差による不平等の解消は32位とワースト10位。制度による再配分などで子供の貧困を緩和しているかどうかを示す「貧困撲滅」に関しても、調査ができた37カ国中23位との結果となった。世帯所得が中央値の6割未満となる相対的な貧困状態にある子供は平均値21%を下回る18.2%となった。

 日本の中でみると、地域別での貧困格差拡大の可能性が指摘されており、国立成育医療研究センターの研究チームが公表した、都道府県別の乳幼児死亡率の格差にそれが表れている。研究チームが1899~2014年の人口動態統計を用いて、乳幼児の死亡率と都道府県格差を分析したところ、5歳未満の死亡率は戦後下がり続けている一方で、2000年代に入って地域間の格差が拡大していた。14年の死亡率が高かったのは、栃木(出生1000人に4.7人)、鳥取(同4.6人)、徳島(同4人)、高知(同4人)などとなり、都道府県の順位は毎年入れ替わるが、比較的高い死亡率が続く県もあった。医療体制の地域格差が縮小しているのに対し、乳幼児の格差は日本が先進国でなかった時代の値に近づきつつあり、これには貧困などの社会問題が関連している可能性があるという。

 また、世代間による貧困格差拡大も問題視されている。59歳までの勤労者世帯では、平均貯蓄額は1299万円となり前年度より0.8%減少した一方で、60歳以上の高齢者世帯では平均貯蓄額が2385万円となり、なかでも「4000万円以上」の占める割合が18.6%と最も多くなった。勤労者世帯では貯蓄額の低いところに偏った分布となり、反対に高齢者世帯では貯蓄額の高いところに偏った分布となっている。

 貧困の格差が小さいといわれている日本だが、富める者が更なる資産形成をする構造に変わりはなく、国の豊かさから子供が受ける恩恵やその地域格差については更なる調査が求められる。(編集担当:久保田雄城)

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