エルメネジルド ゼニア、2018年春夏メンズコレクション発表

2017年6月20日 11:06

 エルメネジルド ゼニア(Ermenegildo Zegna)が、アレッサンドロ・サルトリの2シーズン目となる2018年春夏コレクションを、ミラノコレクション初日の2017年6月16日(金)にイタリア・ミラノ大学にて発表した。なお、同コレクションは、前シーズンより引き続き、ショーの翌日より12種類のクチュールルックのメード トゥ メジャーの受付が開始される。

 落ち着いた荘厳な雰囲気の大学構内の中庭に、真っ赤な砂と木、そして無機的なシルバーの什器。相容れないものが交わる未来的な庭園の中に、和太鼓の音が響いた。力強い協演で始まった今回のショー。音からも分かるように、デザインインスピレーションには和の要素が隠されている。

 着物の重なりを想わせるダブルブレストのジャケットとVネックトップス、さりげなく現れるヘムのスリットはその好例。特に、精巧な技術の見せどころとも言えるレザーのカッティングは、ブランドらしいラグジュアリーな匠の技と、日本らしさをかけ合わせた賜物。小さな破片の集合体によって完成させられた、竹林のようなマルチストライプや草木柄は、立体的かつ非常に表情豊かだ。さらには、格子のようにカッティングされ、レイヤードして楽しむ素材へと転換されたものもある。

 カジュアルなブリーチデニム、糸の編み方によって模様を浮き上がらせた軽やかなカラミ織り生地やメッシュジャカードなど、テキスタイルの豊富さは随一。歩くたび自由な動きを見せるウォッシュトシルク、カシミア、モヘアなどの提案は、おそらく今季の軽やかなリズムを生む根源であり、“形のある無重力”とでも言えよう。

 そして、まるで会場の燃えるような赤をワードローブに投影した“朱”の色は、今季、主役として躍り出た。それを筆頭に、ホワイト、ウォールナット、ディープグリーン、爽やかなスカイブルー、ベーシックなカーキ、ベージュなどナチュラルなカラーが登場し、心地よく共存している。

 多様な表現がありながらも、もとを辿れば、メインとなっているのはラフなジョガーパンツ、アノラックパーカー、プルオーバー、ワークジャケットなど。いわばストリート感の強いアイテムを、これほどまでに気品あるものに昇華できるのは、エルメネジルド ゼニアの精巧な技だからこそ成せること。これまで数多くのクリエーションを見せてきたブランドが、また新たな旅へと一歩を踏み出している。

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