次世代環境自動車向け二次電池、16年は1兆4260億円 25年には6兆6138億円に

2017年6月19日 11:11

富士経済は、米国のZEV規制や中国のNEV規制などをはじめとした、一定比率以上の次世代環境自動車の生産・販売を義務付ける政策の強化などを背景に、今後大幅な拡大が予想される次世代環境自動車向け二次電池の市場を調査した。その結果を報告書「エネルギー・大型二次電池・材料の将来展望 2017 次世代環境自動車分野編」にまとめた。

 それによると、2016年の市場は1兆4,260億円となった。EV向けとEVトラック・バス向けが合計で70%以上を占めている。燃費規制強化に伴い需要が増加しているEV向けが米国や中国を中心に大きく伸びているほか、中国を中心としたEVトラック・バス向けのウェイトも大きい。搭載される二次電池はLiBが主流であるが、NiMHも搭載するHVの伸びに伴い需要が増加している。

 今後も各分野の市場が拡大し、2025年には2016年比4.6倍の6兆6,138億円が予測される。特に伸びの大きいEV向けは同7.0倍の3兆9,317億円が予測され、全体の50%以上を占めるとみられる。また、HV・PHV向けの伸びも大きく、同4.8倍の1兆7,281億円が予測される。

 エリア別にみると2016年時点では中国が市場規模8,075億円で全体の50%以上を占めている。現状はEVトラック・バス向けが中心でLiBの搭載が多い。中国工信部は2018年から自動車メーカーに対して新エネルギー車の生産目標を義務付けるNEV規制を導入する方針であるため、今後は特にEVの伸びが加速し、EV向けの比率が高まるとみられる。また、2016年からは中央政府が新エネルギー車の購入補助金制度を変更し、中国電池メーカーの品質向上を促すため、搭載する電池パックのエネルギー密度に応じた補助金の差別化も行っている。今後、HVやHVトラック・バス、PHVなどの需要増加も予想され、それに伴いLiBだけでなく、NiMHやEDLCなども伸びるとみられる。また、山東省のローカルメーカーにより展開されているマイクロEVの需要も大きいため搭載されるPbも伸びるとみられる。

 北米・中南米は、北米でのEV向けを中心に伸びており、2016年の市場は2,983億円となった。米国カリフォルニア州のZEV規制などによる普及政策により、今後もEVを中心に次世代環境自動車の需要増加が予想される。特にEV向けのLiBが伸びをけん引するとみられる。また、NiMHも搭載するHVの伸びに伴い一定の需要を確保するとみられる。

 2016年の欧州市場は1,413億円となった。PHV向けとEV向けがそれぞれ40%以上のウェイトを占めている。ノルウェー、ドイツ、フランス、イギリス、オランダを中心に政府による次世代環境自動車の普及政策が積極的に進められており、近年はチェコ、ポーランド、ハンガリーなどの中東欧諸国にも広がっている。今後EUでは厳格な燃費規制強化が計画されているため、EVを中心に需要増加が予想され、2025年にはEV向け二次電池の最大需要地になるとみられる。欧州市場は2016年時点では全体市場の10%弱にとどまっているが、2025年には25%以上を占める1兆6,826億円が予測される。

 2016年の日本市場は1,531億円となった。NiMHを搭載するHVが好調なため、他エリアとくらべてNiMHの比率が高い。今後PHVやEVの市場が拡大するため、それら向けのLiBが大きく伸びるとみられる。アジア、オセアニア他は次世代環境自動車の普及は遅れているが、今後はEVやPHVなどの本格的な普及が期待されるとしている。(編集担当:慶尾六郎)

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