EUとの関税交渉で輸入パスタ・チョコレートなど値下がりか
2017年6月19日 06:57
日本とEU(欧州連合)の間で行われている日欧経済連携協定(日欧EPA)交渉で、相互の関税削減・撤廃が提示され、欧州からの輸入パスタ、チョコレート、ワイン、乳製品などが値下がりする可能性が生じている。日本経済新聞が報じた。
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EUは加工食品において高い競争力を持つ。日本側としては、食品において歩み寄りを見せることで、自動車とその関連分野でEU側の譲歩を引き出したいという狙いがある。EPA交渉は7月初旬の大枠合意を目指しているが、果たして双方の納得する落としどころに辿りつくことはできるのか。
日本側が狙うEUの「本丸」は、自動車に課せられている10%の関税である。日本側は、これの早期撤廃を要求している。では、交換条件としてEUが求める、加工食品とはどのようなものか。
EUの農産品輸出上位50品目のうち、12品は加工品である。最も代表的なものの一つは、日本でもよく知られているベルギーチョコレート「ゴディバ」であろう。
EUからのチョコレートにかけられている日本の関税は、10%である。現在の交渉状況では、「低関税枠を用意する」という案が有力となっているという。
次に、乾燥パスタについて見てみよう。スパゲティやマカロニなどのパスタには、現在1キログラムあたり30円の関税がかけられている。これについては、段階的に12円以下に引き下げる、という案が出されている。パスタは、原料にデュラム小麦を用いたものが上質とされて好まれるのだが、このデュラム小麦自体がほとんど日本で産出しないため、関税を引き下げても日本の小麦作に悪影響はほとんどないと見られ、日本側の提示できる有力な「カード」となっている。
そのほか、ビスケットは現在13~15%の関税がかかっているが、これは撤廃の方向で話が進んでいる。
交渉が難航しているのは、ワインとチーズである。日本で流通している純国産ワインはシェア4%ほどに過ぎないが、将来的な関税撤廃を考えるにしてもまだ猶予期間が欲しいというのが日本側の本音である。チーズに関しては、以前TPPでモツァレラやカマンベールの関税水準を守り抜いたという経緯があるため、安易な妥協はできないという状況がある。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)