アップルがスマートスピーカー「HomePod」を発表
2017年6月18日 20:10
電話や教科書、イヤホンなど数々の再発明を発表してきたアップルだが、今回の同社が再発明したものは「ホーム・ミュージック」だった。Siri搭載のスマートスピーカーを発表することについては以前から予測されていたが、アマゾン、グーグルなど、このフィールドでの強者が既に市場を掌握しつつあるなか、同社がどういった方向性を打ち出すかに注目が集まっていた。
アップルがWWDCで発表した「HomePod(ホームポッド)」は、話しかけて天気を教えてくれたり、音楽をかけてくれたりといったアシスタント機能に重点を置く従来のスマートスピーカーとは一線を画したものになっており、音楽体験へのこだわりを追求した点が特徴的なプロダクトとなっている。全体がメッシュ状になった円形スピーカーには、大きな(4.0インチ)上向きウーハーと7個の高音スピーカー(ツイーター)を搭載しており、それらをコントロールする頭脳となるのはアップルのA8チップだ。また、6個のマイクアレイを搭載することで、大音量で音楽を鳴らしていて、ユーザーが部屋の反対側にいても人の声を認識できる。さらには、置かれた環境をスキャンし、それに応じてオーディオを最適化する。アップルミュージックのライブラリーにある曲を、話しかけて再生できるのはもちろん、似た曲や曲についての情報を教えてくれるといった、ミュージックライブラリーを最適化してきた同社ならではの使い方もできる。
米国のスマートスピーカー市場で圧倒的なシェア(71%)を誇るに「アマゾン・エコー」は、音声認識精度の高さや直感的な操作性に定評があり、直接商品購入における優位性を持つほか、すでにディスプレイを搭載した「エコー・ショー」や、ファッションチェックをしてくれる「エコー・ルック」を発表するなど勢いに陰りが見えない。2位(24%)の「グーグル・ホーム」についても、いちはやく多言語対応を発表、また音声認識精度の目覚ましい向上から支持を広げている。一方、後追いとなるアップルについては、プラットフォームとしての魅力や技術面での優位性に乏しく、市場参入に対いて不安視する見方もあった。
今回発表されたホームポッドでは、良質な音楽体験の提供が全面的に押し出され、ほかとの差異を強調するかたちとなった。12月からオーストラリア、英国、米国をかわきりに販売が開始されるとのことで、価格は米国内で349ドルとのこと。(編集担当:久保田雄城)