ヤクルト、中国での生産を拡大 広東省佛山市で新工場の建設開始
2017年6月16日 07:20
ヤクルトは15日、中国・広東省の広州ヤクルトにおいて、7月に佛山工場の建設を開始すると発表した。広州ヤクルトの工場としては3カ所目、中国の工場としては6カ所目となる。中国においては2002年に広州工場で「ヤクルト」の生産開始を皮切りに、2006年には上海工場、2011年には天津工場、2014年には広州第2工場、2015年には無錫工場で生産を開始している。
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広東省では健康意識の高まりから中心都市での需要が堅調なことに加え、郊外都市でも販売拡大が見込めるため、広州工場、広州第2工場に続いて、佛山工場の建設を開始し、19年3月の生産開始を目指す。
ヤクルトはこれまで中国においてシンプルなマーケティングを展開。「抵抗力強化」や「病気予防」、「肌にやさしい」など分かりやすいシンプルなイメージを消費者に伝えてきた。ヤクルトレディが住宅街で消費者と直接対面することで、ヤクルトの「健康で身体によい」というイメージが多くの消費者に浸透している。
こうしたイメージ戦略と同時にブランド戦略にも注力。まずは品質確保とブランド作りに専念したうえで、慎重に商品の生産・販売を拡大してきた。中国の消費者は飲料の味を重視する傾向があるため、中国に進出する日本の食品メーカーは多様な味付けを展開することがあるが、ヤクルトは味を現地化せずにあくまでも「健康」と「品質」というシンプルなイメージのみで勝負してきた。
結果的にそのイメージ戦略が効を奏して、中国の一般市民にはヤクルトのパッケージデザインそのものが「高品質」と結び付くほどブランド価値が高まった。一時はヤクルトレディの採用が追い付かないといわれるほど爆発的な人気商品の仲間入りをしたのである。
中国以外の国でもその販売比率を高めている。1964年に台湾で営業を開始して以来、ブラジル、香港、フィリピンと各国に順次進出。販売方法も一貫したヤクルトレディ方式により、ヤクルトの品質と効能を丁寧に説明してきた。量販店に頼らず、一軒一軒を訪問することで安売り競争とは距離を置いたブランド作りに専念。その地道な手法はこれまで世界各地で受け入れられてきた。
ここ数年は中国の景気後退や地場乳業メーカーの安値攻勢によりアジア・オセアニア事業の採算が悪化していたが、昨年末より中国の景気底入れ感が強まったことでアジア・オセアニア事業におけるヤクルトの勢いは急回復している。
今回の佛山工場建設により、中国南部での生産比率を一気に高めることで、より中国の一般家庭にその品質や効能の浸透を目指す。中国を中心とするアジア市場のヤクルトの躍進には今後も目を離せない。