アクセル Research Memo(6):次世代グラフィックスLSI開発のピークを迎えるため、18/3期は増収減益に
2017年6月12日 09:09
*09:09JST アクセル Research Memo(6):次世代グラフィックスLSI開発のピークを迎えるため、18/3期は増収減益に
■今後の見通し
1. 2018年3月期の業績見通し
アクセル<6730>の2018年3月期の業績は、売上高が前期比23.5%増の9,900百万円、営業利益が同85.9%減の20百万円、経常利益が同87.7%減の20百万円、当期純利益が同51.6%減の45百万円と増収減益となる見通し。
業績計画の前提となる2018年3月期の遊技機器販売台数は、自主規制導入の影響が続き前期比26万台減の210万台(内訳は、パチンコが4万台増の160万台、パチスロが30万台減の50万台)と縮小傾向が続くと見ている。政府がカジノ実現に向けて、「依存症対策」を目的とした法改正に取り組む意向を示しており、遊技機器業界でも射幸性を抑制した機器の導入や依存者の入場制限といった対策案が検討されるなど、現段階では不透明要因が多いため慎重な計画となっている。特に、パチスロ機については客付きの良い旧基準機が残存するなかで、2017年10月からは射幸性を抑えた5.9号機のみの販売に制限されるため、2018年3月期は前期の80万台から50万台へと大きく落ち込むと見ている。
こうした市場環境下で売上高が2ケタ増収となるのは、グラフィックスLSIの販売数量がシェア拡大により前期比1.1%増の88万個とわずかながら増加に転じること、「AG5」の比率が65%から75%に上昇すること、グラフィックスLSIを搭載した基板モジュールの採用が下期以降始まり、全体の1割(約9万個)を占めること、メモリモジュールやその他周辺LSIの拡販が進み大幅増収となること等が要因となっている。
グラフィックスLSIの販売数量はパチスロ向けで減少するものの、パチンコ向けで主要顧客の販売が回復し、市場シェアは前期の45%から51%に回復すると見ている。また、販売単価が若干高い「AG5」の販売比率が上昇することや、販売単価が1.5倍増となる基板モジュールの販売が立ち上がること等により、遊技機器向けグラフィックスLSIの売上高は前期比7%増の約64億円※となる見通し。また、その他周辺LSIについては主にメモリモジュールの拡販が進むことで、同80%増の約33億円※を見込んでいる。
※決算説明会資料よりフィスコ推定
組込み機器向けグラフィックスLSIの販売数量は、顧客の需要動向から前期の4.3万個から約3.2万個に減少する見通しとなっている。また、その他製品についてはソフトウェアIPやミドルウェア製品の伸びが見込まれるが、全体の業績に与える影響は軽微と見られる。
売上総利益は前期比10.0%増の3,900百万円、売上総利益率は販売構成比の変化に伴い前期比4.9ポイント低下の39.4%を見込んでいる。グラフィックスLSIの半分程度の売上総利益率となるその他周辺LSIの売上構成比が上昇することが売上総利益率の低下要因となる。また、販管費は前期比14.0%増の3,880百万円を見込んでいる。グラフィックスLSIの次世代品である「AG6」の開発がピークを迎えることで、研究開発費が前期比22.3%増の3,000百万円に増加することが要因だ。役員報酬の減額等によりその他販管費を抑制するものの、研究開発費の増加が響いて、営業利益は減益となる見通し。ただ、研究開発費の水準は2018年3月期がピークで、2019年3月期以降は2,000百万円前後の水準まで低下する。このため、遊技機器向けグラフィックスLSIの販売数量が減少しなければ、2019年3月期は営業利益で増益に転じることになる。
なお、半期ベースで見ると2018年3月期上期は売上高で前年同期比12.7%減の3,500百万円、営業損失で300百万円となり、当面の業績の底になると見られる。2017年3月期第2~第3四半期にかけてパチンコホールで新基準機への入れ替え作業が集中し、それに伴う特需が発生した影響で、年明け以降にその反動が出ているためだ。実際、前第4四半期の受注高は616百万円と前年同期比で65.2%減、前四半期比で66.8%減と大幅に減少している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《SF》