女性社長は企業全体の7.69% 増加傾向に

2017年6月7日 07:42

 2016年4月に女性活躍推進法が施行されてから1年あまりが経過。ビジネスにおける女性の人材育成やリーダー登用が進むなか、2017年5月11日には60を超える国々から女性経営者や女性起業家が参加した「世界女性サミット」が初めて東京で開催され、女性の活躍に向けた活発な議論が交わされた。また、5月25日に開かれた男女共同参画会議では、女性の起業に対する支援の強化が重点取組事項案として検討されるなど、女性社長に対する注目はいっそう高まっている。

 こうしたなか、帝国データバンクでは企業概要データベース「COSMOS2」(147万社収録)をもとに、女性が代表を務める上場・非上場企業(個人事業主、非営利・公益法人等除く)について、都道府県別、年商規模別、業種別、就任経緯別、出身大学別に集計・分析した。

 それによると、2017年4月末時点の女性社長は企業全体の7.69%を占め、10 年前(2007 年)と比較して1.45ポイント、前年(2016年)との比較でも0.09 ポイントの上昇と、緩やかな増加傾向となった。

 企業が本社を置く都道府県別では、「青森県」が10.33%で最も高く、以下「沖縄県」の10.32%、「徳島県」の10.19%が続き、この3県で女性社長比率が1 割を超えた。「中国」「四国」の両地域では、すべての県で全国(7.69%)を上回るなど、総じて近畿以西で女性社長比率が高い。最も比率が低かったのは「岐阜県」の5.09%で、次いで「長野県」(5.71%)、「滋賀県」(5.78%)、「愛知県」(5.96%)と、この4県で女性社長比率が 5%台にとどまった。10年前(2007年)との比較では、すべての都道府県で女性社長比率は上昇し、なかでも「沖縄県」は4.23ポイント上昇と、とくに目立った。

 年商規模別では、年商「5000万円未満」の女性社長比率が10.62%で最高。以下、年商が大きくなるにつれて女性社長比率は低下し、「100億円以上」では1.36%にとどまった。10年前(2007年)との比較では、年商「5000万円未満」は2.03ポイント上昇と最も大きく、「50 億~100 億円未満」は0.08 ポイント上昇にとどまり、最小となった。

 業種別では、「不動産業」の女性社長比率が16.43%で最高となり、以下「小売業」(10.30%)、「サービス業」(10.21%)と続いた。「建設業」は4.69%と最も低く、全業種(7.69%)を3.00ポイント下回った。10年前(2007年)および前年(2016年)との比較では、女性社長比率はすべての業種で増加傾向にあり、なかでも「サービス業」は10年前(2007年)よりも2.14ポイント上昇と最大だった。

 業種細分類別の上位業種をみると、子育てや介護、美容や教育といった生活に根差した業種で女性社長比率が高いことがわかる。なかでも「保育所」は 44.70%で突出しており、以下「化粧品小売」の36.52%、「美容業」の34.26%と続いた。10年前(2007 年)との比較では、「保育所」は4.60 ポイント低下、前年(2016 年)との比較でも1.89 ポイント低下と上位業種のなかでは低下傾向にある。ニーズが高い成長分野であることから参入企業が増え、相対的に男性社長の比率が高まってきているといえる。また、「老人福祉事業」は 10 年前(2007 年)との比較で10.00ポイント上昇と目立った。(編集担当:慶尾六郎)

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