「オリラジ中田の乱」は健全な笑いを再生できるか?
2017年6月7日 18:00
もはや説明も不要だろうが、要約すれば「日本のお笑い芸人たちは、上下関係や空気を読んだ笑いに終始し、権力者に批評の目を向けた笑いは皆無。後者が支配する地上波テレビはオワコン」という発言をした脳科学者の茂木健一郎氏に対し、フジテレビ『ワイドナショー』で、MCの松本人志が「笑いのセンスがないから、この人(茂木氏)に言われても刺さらない」と公開処刑し、茂木氏を謝罪させた一連の流れに対して、オリエンタルラジオ中田敦彦が、茂木氏を応援しつつ苦言を発したという問題。
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中田は、ブログやラジオ番組で、吉本の社長や幹部、さらには先輩・同期の芸人から、松本に謝るよう要求され、本人はこれを突っぱねているという話をした。さらに、社長に呼び出されて話し合いをしている最中に、松本人志本人からも電話があったらしい。
情報が断片的に切り取られ、中田は終わったとか、天狗になりすぎたという意見もあれば、お笑いの岩盤規制に風穴を開けた、こういうのが面白いのに……など、賛否両論が巻き起こっている。
ただ、業界関係者はいろいろ事情はあるだろうが、ネットの反応の多くは、中田や松本よりも、この発言だけで謝罪をしろと言い出した吉本興業の姿勢に対する批判が多いようだ。
松本が激怒しているとか、謝罪を要求しているのではなく、吉本の社長や幹部が、勝手に「忖度」して謝罪をさせようとしているのではないかという意見が多く、むしろ、このバトルをエンターテイメントとして楽しみたいという空気が支配的である。
恐らくは、松本もそれを望んでいるのではないかと思う。何しろ、彼らダウンタウンだって、当時の大御所である横山やすしとの口喧嘩をネタにブレイクしてきた実績があるし、自分の発言が、一種の権威づけされることへの抵抗もあるだろう。
しかし、茂木氏の「上下関係や空気を読んだ笑い」「権力者に批判の目を向けた笑いは皆無」という発言を、まるで肯定するかのように中田に圧力をかけた吉本興行の幹部の「忖度」は、ちょっとカッコ悪いのではないだろうか?(記事:潜水亭沈没・記事一覧を見る)