新しい弔いを提案する「TAYORI 手依」、インテリア性も追求
2017年6月6日 13:20
石川県の老舗、宮本仏壇店が2016年に立ち上げたブランド「TAYORI -手依-」が14~16日に東京ビッグサイトにて開催される「インテリアブランド展」に出展する。弔いのための道具にも、インテリア性が求められるようになった。
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同ブランドは従来の大きな仏壇に変わり、現代の生活スタイルに合わせた新しい祈りの道具を提案している。信仰や風習に囚われず、故人との想いを交わす「便り」のような存在になるようにとの想いが込められ、コンパクトでナチュラルな商品を展開する。
「手を合わせる」あるいは「手で包み込む」という所作が宗教や宗派に関わらず、祈りや慈しみを表す普遍的な行為であることに着目し、丸みを帯びた形状や、位牌をイメージさせるデザインが特徴。従来型の仏壇ではないからこそ、常に身近に置いて故人を感じられるという。
昨年創業100周年を迎えた宮本仏壇店は、「蒔絵の金沢」と称される地域に相応しく、金箔や蒔絵など贅を尽くした仏壇を取り扱ってきたという。しかし時代の変化に伴い、住まいから仏間が消え、大きな仏壇を置くことは不可能になった。仏壇に変わり、故人の形見入れや遺灰をダイヤモンドに変えるなどの「メモリアル」という考え方が広がり始めたのに合わせ、ブランドの開発に至った。
最高級の輪島塗と、木目を活かした拭漆(山中塗)、そして木の風合いをそのまま活かしたウレタン塗装の製品を制作。「手依・円」は、球体のような丸みを帯びた形。小サイズ・拭漆は6万4,000円。「手依・立」はすらりと縦長の形で小サイズ・拭漆は5万4,000円。「手依匣」は故人の形見や遺灰を入れられる容器となっており、用途によって3種類のデザインを選べる。組み合わせた場合の金額目安は10万~35万円程度。輪島塗の場合は30万~90万程度となる。
いずれも木の温もりや、日本の工芸の美しさなどを感じられるもの。現代に好まれるシンプルなデザインで、今後の弔いのシーンに新しい選択肢が増えることとなりそうだ。(記事:高橋珠実・記事一覧を見る)