関空エアポートが増収増益、関西空港の民営化1年目
2017年6月4日 20:23
日本の大規模空港の民営化1号案件・関西国際空港(関空)を運営の関空エアポートが、民営化後の1期目の数字である2017年3月までの1年の数字を発表した。民営化1年目より増収増益を果たし、民営化は順調なスタートを切っている。
アジア地区からのLCC乗り入れで関空の活況は続いているが、数字の上でも関空の活況が表れた格好である。
関空エアポートはオリックス<8591>とフランスの総合建設会社で空港運営も手掛けるヴァンシグループの共同出資会社。オリックス40%、ヴァンシグループ40%、その他出資者(関西の大手企業中心)20%との出資構成となっている。2016年4月より関空と伊丹空港(大阪国際空港)の運営を手掛けている。
民営化後1年目の2016年4月からの1年の数字は、営業収益1,802億円、経常利益262億円。昨年度の数字と比べると、営業収益は3.2%の増加、経常利益は3.6%の増加となっている。ただし運営形態が異なるため、昨年度との比較は参考数値となる。
民営化1年目を順調なスタートを切ることができた関空エアポートであるが、同社は2060年3月まで今後毎年373億円の運営権を支払う必要がある。LCC利用の訪日外国人観光客の増加により、民営化1期目の滑り出しは好調だが、多額の運営費を抱えながらの経営を余儀なくされている。訪日観光客の増加は一時的なブームに終わらず定着の兆しもあるため、今後の関空エアポートの経営もスムーズに行く可能性もあるが、訪日観光客の数次第の面は否めない。
大阪と京都という日本を代表する二大観光地に近接する関空は、LCCを利用の訪日観光客の増加は続いているものの、欧州便等のLCC以外の路線は伸び悩んでいる。商業施設への投資効果も増収増益の背景にはあるものの、同社の黒字定着を安心するには時期尚早と考えられる。しかしながら訪日外国人観光客について、リピーターが多くなりつつある環境下での増収増益であり、日本の大規模空港民営化1号案件として今後の黒字運営維持に期待したい。(編集担当:久保田雄城)