トヨタなど4社、豊田市で再生可能エネルギーの地産地消プロジェクト
2017年6月3日 18:45
家庭や企業の需要をマネジメントし、再生可能エネルギーの地産地消の実現性を検証する目的で、中部電力、デンソー、トヨタ自動車、およびトヨタタービンアンドシステムの4社は、環境モデル都市である豊田市(市長:太田稔彦氏)と共同で、新たなプロジェクトをスタートさせたとリリースで発表した。
これは豊田市の再生可能エネルギーの地産地消を実現するために、再生可能エネルギーで発電した電力の供給に合わせて家庭や企業の需要等を制御し、さまざまな需要家のエネルギーリソースをあたかもひとつの発電所のように機能させる「バーチャルパワープラント」を構築するプロジェクトである。
豊田市は、2030年までに1990年比でCO2を30%削減する目標を掲げ、地域の低炭素化に向けた取り組みを進めている。2016年10月には企業と連携して「豊田市つながる社会実証推進協議会」を発足し、同協議会のテーマのひとつとして、豊田市の再生可能エネルギーの地産地消に取り組んでいる。
今回のプロジェクトは、豊田市に設置されている天候等により変化する風力・太陽光・バイオマスの再生可能エネルギーによる電力の供給に合わせて、需要等を調整するエネルギーマネジメントを行ない、CO2フリー電源である再生可能エネルギーの地産地消の実現性を検証する施策となる。
具体的には、家庭や企業が保有するプラグインハイブリッド車(PHV)、ヒートポンプ給湯機、蓄電池などをICT(情報通信技術)によって連携させ、PHVの充電時間や蓄電池の充放電を制御することなどにより、再生可能エネルギーによる電力供給に合わせて需要等を調整する。
こうした効率的なエネルギー利用に資するエネルギーインフラの基盤構築に向けて、ICTを活用した革新的な次世代エネルギーマネジメントシステムとなる「バーチャルパワープラント」を構築する。
さらに、「バーチャルパワープラント」で作り出された電力を一般送配電事業者に提供し、電力系統の安定化に資する新事業の成立性を検討していく。
これと併せて、再生可能エネルギー普及拡大を可能とする電力系統の実現を目指し、配電系統の電圧や潮流を調整する手段のひとつとして、蓄電池等を制御するなどの有用性についても検証を行なう。豊田市と関係4社は、本プロジェクトを2020年3月まで実施し、新しい事業の創出を目指す。同時に、低炭素社会の実現で、地域の発展に貢献していくとしている。
このような再生可能なエネルギーを企業と地方自治体が共同で開発・運用する動きが活発化すれば、温泉地帯なら地熱エネの活用など、地域に合ったエネルギー創出も可能になりそうだ。(編集担当:吉田恒)