魅力的な外見の研究者の研究は人々の興味を集めやすい
2017年6月1日 08:22
「魅力的な容姿」を持つ科学者はより人の興味を引くいっぽうで、科学者としての能力については劣ると思われやすいという研究結果をケンブリッジ大学の研究者らが発表した(
ScienceDaily、ケンブリッジ大学の発表、PNAS掲載論文)。
著者らによると、昨今では科学が社会に与える影響が大きくなっており、そのため科学者も社会的な議論に参加しなければならないという。いっぽう、顔による「初対面の印象」は社会的に大きな影響があると言われている。そこで論文では科学者の外見によって、講演の聴衆者などそれを見た人に与える影響力がどう変わるのかを調査したそうだ。
実験では、米国や英国の大学に所属するさまざまな研究者、合計208人の顔をサンプルとし、被験者の1グループにその写真を提示して「知的に見えるか」「魅力的か」「年齢はどのくらいに見えるか」など尋ねたという。また、別のグループには「その研究者の研究に興味を持ったか」「正確で重要な研究を行っているようにみえるか」などを尋ねたという。その結果、人々は物理的に魅力的で、また有能でモラルのありそうな研究者であるほど、その研究内容に興味を示すことが分かったという。
また、年齢の高い研究者に対してはやや興味を示す度合いが増え、逆に女性の研究者に対してはやや減るという傾向もあったという。いっぽうで人種間による違いはなかったそうだ。
ただ、「高品質な研究を行っているように見えるか」という問いに対しては、物理的に魅力的で、また有能でモラルがありそうに見える研究者よりも、そうでないのほうが高品質な研究を行っていると考える傾向も見られたという。