アマゾンやツイッター、ライブ配信に注力 テレビ視聴者層の獲得狙う
2017年6月1日 07:38
ここのところ大手ネット企業は、こぞってライブ配信に注力している。インターネット上のコンテンツが充実することで、テレビの視聴者離れが叫ばれていたが、依然としてテレビの影響力は大きい。昨年はツイッターがナショナルフットボールリーグ(NLF)の配信権を獲得したが、1試合あたりの平均視聴者数はテレビの1580万人に対し、ツイッターは26万6000人と伸び悩んだ。ツイッターの後釜としてNLFの配信権を獲得したのはアマゾンだ。同社は配信権の獲得過程で5000万ドルを支払い、フェイスブックとグーグルに競り勝った。アマゾンプライム・ビデオのサービスの一環とし「Thursday Night Football」の10試合をライブストリーミング配信する。
NFLのライブ配信から撤退したツイッターだが、5月1日の発表では、ブルームバーグのニュースを毎日24時間配信する番組や、女子プロバスケットボールリーグのWNBA、バズフィードが配信している事件や出来事の最新情報、ライブ・ネイションとの連携による音楽ライブ配信など、さまざまな生放送番組の配信権獲得を発表している。NFLについてはハイライトの紹介などのコンテンツ番組配信に徹する。
フェイスブックもライブストリーミング配信に力を入れており、テレビに代わるメディアになりたいとの意向を公言している。同社は18日、米大リーグ(MLB)と今シーズンの20試合をライブ配信することで合意したと発表している。グーグルもモバイルライブストリーミング機能を発表しており、10億人以上いるYouTubeでのユーザー向けにライブ配信機能を強化している。
こうしたネット上でのライブ配信へ注力は国内でも見られ、サイバーエージェントのAbemaTVが24時間オリジナル番組を配信するほか、5月23日には、TBSホールディングス、日本経済新聞社、テレビ東京ホールディングス、WOWOW、電通、博報堂DYメディアパートナーズは有料の動画配信サービス新会社「プレミアム・プラットフォーム・ジャパン」を共同で設立することを発表している。
オンデマンドで観られる優良コンテンツがあふれるなか、各社がライブ配信に取り組む理由は、ユーザー獲得における視聴の習慣化の重要性に気づいているからだ。多くのテレビがネットに接続される昨今、いよいよネットコンテンツとテレビ番組制作会社によるコンテンツの境界線が曖昧になってきており、各媒体によるユーザー獲得合戦は激化すると考えられる。(編集担当:久保田雄城)