ソニーが中期計画で体質改善 営業利益5000億円達成へ事業別見通しは?
2017年5月29日 12:02
中期計画は単年度の事業計画と違い、中期的な課題に取り組むチャンスである。中期目標を掲げることにより、計画的に構造改革を進めることができるという利点がある。中期計画で構造改革を成し遂げ、収益源の多角化を行ったソニーのケースを見てみよう。
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■ソニーの今期(2018年3月期)業績見込み
前期(2017年3月期)売上高7兆6,033億円(前年比94%)に対し、今期売上高見込み8兆円(前年比105%)とここ数年売上高の変動は少ない。一方、営業利益は前期が2,887億円(前年比98%)に対し、今期見込み5,000億円(前年比173%)と大幅増益の見込みとなっている。
中期計画の期間に体質改善を計り、今期営業利益の大幅改善に挑むソニーの動きを事業分野別に検討してみよう。
■ソニーの中期経営計画
2015年2月18日に発表した今期まで3年間の中期経営計画において、平井社長は「一律には規模を追わない収益性重視の経営~高収益企業への変革」を掲げ、今期営業利益5,000億円を目標とした。これ以前にソニーは赤字体質からの脱却を目指して、パソコン事業の収束、本社と販売会社費用の削減、テレビ事業の分社化などの施策を実行していた。
■前期・今季の部門別営業利益改善への取り組み
・モバイルコミュニケーション部門(携帯電話など) 今期営業利益見込み50億円
前々期に▲614億円を記録したが、オペレーションコストの削減などの構造改革で2期連続の黒字確保。
・ゲーム&ネットワークサービス分野 今期営業利益見込み1,700億円
対前期比344億円増加、ネットワーク売上の増加などリカーリングが貢献してきた。
・ホームエンタテインメント&サウンド分野 今期営業利益見込み580億円
テレビ事業の赤字体質を脱却して安定収益を計上。
・半導体分野 今期営業利益見込み1,200億円
対前期比1,278億円増加、前期は円高と熊本地震の悪影響が717億円あったが、今期は逆に中国工場の売却益270億円を見込んでおり、イメージセンサーの増産などにより大幅増益見込みとなった。
・コンポーネント分野は、赤字の電池事業の売却により整理 今期営業利益見込みなし
対前期比604億円増加、赤字部門の整理。
・映画分野 今期営業利益見込み390億円
対前期比1,195億円増加、前期営業権の減損1,121億円を行った反動による改善。
・イメージングプロダクツ&ソリューション分野、音楽分野、金融分野については順調に拡大傾向にある。
ソニーの中期経営計画で体質改善が進み計画達成の道筋が見えてきたが、各事業分野のシナジー効果が十分に発揮されるのか今後の展開に期待したい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る)