自分から進んで勉強する子供を育てるためには?
2017年5月28日 20:44
「ほめる」ということは子育てにおいて重要であることがベネッセ教育総合研究所の「幼児期から小学生の家庭教育調査・縦断調査」で明らかになった。この調査は、年少児から小2までの5年間、母親479人を対象とし同一の親子を継続して調査を行い、子どもの育ちのプロセスや親の関わり方の影響を明らかにする目的で行われた。
調査結果から、幼児期にはまずあいさつや片付けなどの「生活習慣」が身につき、それが好奇心や頑張る力などの「学びに向かう力」に影響を与え、小学校の学習につながる「文字・数・思考」が身につくという順序で育ち、その後小学校での「学習態度」につながる。学習態度とは、「大人に言われなくても自分から進んで勉強する」「勉強が終わるまで集中して取り組む」といった行動だ。学習態度を身に着けさせるには、まず幼児期に3つの力を身に着けさせることが重要だ。
そして、小1で親の関わりが小2の「学習態度」にどのように影響するのか分析した結果、「子どもがやりたいことを尊重し、支援している」「しかるよりもほめるようにしている」といった「子どもの意欲を大切にする」ことと、「ワークブックを子どもにやらせている」「子どもと知育玩具を使って文字や数を学習するような遊びをする」といった「学習環境を整える関わり」が影響を与えることがわかった。
この2つの指標を得点化して、両方とも高群だった人を「子どもの意欲を大切にし、学習環境を整えた群」、どちらかのみが高群だった人を「“意欲を大切にする”のみの群」、「“学習環境を整える”のみの群」として子どもの「学習態度」がどれくらい身についているのかを見たところ、「大人に言われなくても自分から進んで勉強する」という子どもに育った比率は、「子どもの意欲を大切にし、学習環境を整えた群」では76.2%、「“学習環境を整える”のみの群」では62.9%、「“意欲を大切にする”のみの群」では61.5%となり、意欲を大切にして、学習環境を整えるという2つの働きをした親のほうが子どもの学習態度を伸ばすことができた。
特に具体的な行動として、小1で「しかるよりもほめる」「教材などで学習させる」ほど、小2で子どもが自らすすんで勉強する傾向がみられ、「最後までやらせる」「教材を使って学習させる」ほど、勉強してわからないときに、自分で考えて解決しようとする傾向があった。
子どもが自分から進んで勉強をするようになるには、まず幼少期に生活習慣や好奇心といった学びに向かわせる必要があり、小学校に上がったら「ほめる」「学習の環境を整えてあげる」という親の行動が大切だということがわかった。子どもが勉強しないとついつい叱りがちだが、ほめながら気長に見守ることが重要だと言える。(編集担当:久保田雄城)