シャープがソフトバンクの10兆円ファンドに約1100億円を出資

2017年5月26日 11:34

 台湾・鴻海精密工業の傘下に入り経営再建中のシャープ<6753>が、ソフトバンク<ソフトバンクグループ:9984>が設立した10兆円ファンドに約1100億円(10億ドル)の出資を決定と発表した。

 ソフトバンクが設立の私募ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」は、ソフトバンクがサウジアラビアの政府系ファンドの資金を受け入れ、IoTを始めとする世界の最先端のテクノロジー領域に投資するファンドとして設立。ファンド総額10兆円規模となり、私募ファンドとしては異例の規模のファンドとして注目を浴びている。

 5月20日のソフトバンク発表によると、同ファンドの主な出資者はソフトバンクグループ、サウジアラビアの政府系ファンド、アラブ首長国連邦の政府系ファンド、アップル、鴻海精密工業、クアルコム、シャープとなっている。930億ドル(約10.4兆円)の出資コミットメントのファンドであり、事前に報じられていた通り10兆円規模のファンドとなっている。

 シャープは鴻海精密工業の傘下入りし、現在再建に向けた途上となっている。今回、親会社の鴻海精密工業とともに、ソフトバンクのファンドに出資を行うことになる。鴻海精密工業の傘下入り前のシャープは、前向きな投資を行う体力に乏しい状態であったが、ソフトバンクのファンドに投資するといった、前向きな投資を行える状況に改善。ファンドへの出資は単なる投資リターンが目的ではなく、IoT他世界最先端の技術及びビジネスの知見を取り入れ、自社の事業展開加速も目的としている。

 事業会社がベンチャーファンドに出資を行い、最先端のベンチャー企業の技術導入やビジネス提携を行うというファンドの利用方法が注目を浴びている。今回のソフトバンクのファンドは、ベンチャー企業を含めた最先端のテクノロジー関連分野に投資するファンドであり、シャープのソフトバンクファンドへの出資も、事業会社のベンチャーファンド利用の流れに沿ったものと言える。経営再建中のシャープだが、ソフトバンクのファンドへの出資を自社のビジネス展開に活かすことに成功し、ファンドを利用した事業会社のビジネス展開成功のモデルケースとなることを期待したい。(編集担当:久保田雄城)

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