ルネサス エレクトロニクス、筆頭株主の産業革新機構が株式を売出
2017年5月25日 07:26
ルネサス エレクトロニクス<6723>の約70%を保有の産業革新機構が、売出しにて同社株式の約2割を売却すると発表した。
東日本大震災で被災したルネサスの再建の音頭を取った産業革新機構であるが、2013年の出資から約3年半が経過。ルネサスの業績及び株価も回復し再建に目途がつき、今回の株式売出に至っている。
機構以外にもNEC<6701>、日立製作所<6501>、三菱電機<6503>といったルネサスの旧設立母体3社も同時に株式の売出を発表。既に3社の子会社としての位置付けではなくなっているものの、今後のルネサスはより独立性の高い会社としての運営がなされる。尚、総額約3900億円の売出となり、国内及び海外にて売出が行われる。
産業革新機構主導の再建により、現在ルネサスは車載用半導体事業に注力し、業績は上向いている。2016年12月期(9ヶ月決算)は売上高4,710億円、経常利益499億円と黒字化しており、17年6月中間期も売上高3697億円、経常利益375億円を予想。黒字は定着したと言える。現在、自動車各社が自動運転関連への投資を増額していると言う追い風もあり、自動運転に欠かせない自動車用半導体を手がける同社の今後の業績は、好調が続くと期待されている。
今回の売出後も産業革新機構の持ち株比率は、依然約50%と高い状態が維持される。よって今後第2、第3の売出及び株式譲渡が予想される。
ジャパンディスプレイ<6740>の再建に苦労している産業革新機構であるが、ルネサスは再建が果たされ、利益確定ができるステージに入った状態である。しかしながら約70%という高い株主シェアを有しており、今回の売出の後も、継続的に株式の売却が必要である。官民ファンドとは言え、資金の大半が税金で賄われている産業革新機構が、最終的にルネサスの全株式の売却を行い、税金の毀損なく資金回収を果たすことができるのか注目される。ルネサスが好調な業績を維持できるかどうかが、今後の資金回収の鍵を握っていると考えられる。(編集担当:久保田雄城)