【株式評論家の視点】オンコリスバイオファーマ―はバイオ企業プレシジョンと資本提携に期待、昨年11月9日安値に届き値ごろ感

2017年5月23日 07:00

 オンコリスバイオファーマ―<4588>(東マ)は、創薬バイオ企業として研究開発先行型の事業を展開している。独自性の高い基盤技術であるウイルス遺伝子改変技術を活用した新規がん治療薬、新規がん検査薬の開発を行い、さらに重症感染症などの難病に対する治療薬の開発と事業化を推進している。

 特にがん領域においては、固形がんの治療を行う腫瘍溶解ウイルスOBP-301(テロメライシンR)、転移がんの治療を行うエピジェネティックがん治療薬OBP-801、がんの早期発見または再発予測を行うテロメスキャンRを揃え、がんの発見から治療までを網羅するパイプラインを構築したほか、感染症領域では、HIV感染症治療薬OBP-601(センサブジン)を軸に、重症感染症領域のパイプラインを構築している。さらに、医療現場のニーズが高い希少疾病治療薬のパイプラインの拡充に取り組んでいる。

 今2017年12月期第1四半期は、医薬品事業では、テロメライシンR(OBP-301)、新規B型肝炎治療薬OBP-AI-004、新規エピジェネティックがん治療薬OBP-801を中心に研究・開発・ライセンス活動を推進したほか、検査事業では、テロメスキャンR(OBP-401/1101)を中心に研究・開発・ライセンス活動を推し進めた。第1四半期業績実績は、売上高1500万円(前年同期比48.0%減)、営業損益2億3500万円の赤字(同1億8200万円の赤字)、経常損益2億4100万円の赤字(同1億8500万円の赤字)、最終損益2億4200万円の赤字(同1億8600万円の赤字)に着地。

 今17年12月期業績予想は、売上高は2億円(前期比12.4%増)、営業損益14億円の赤字(同8億6100万円の赤字)、経常損益14億円の赤字(同8億6400万円の赤字)、最終損益14億円の赤字(同9億3100万円の赤字)を見込む。

 株価は、3月9日につけた年初来の高値1121円から4月13日安値783円まで調整を挟んで同21日高値930円と上昇。その後、5月18日に年初来の安値767円と売り直され昨年11月9日安値774円に届き値ごろ感が出ている。3月29日には米ワシントン大学発のバイオ企業プレシジョンと資本提携契約を締結すると発表。アデノウイルス改変技術を有するプレシジョンと提携することで、同社が国内外で研究開発を推進するテロメライシンをはじめとする「遺伝子改変アデノウイルスを用いたがんのウイルス療法」に加え、現在治療法のない熱帯病ワクチンを「重症感染症」ラインナップに追加することで、将来的には収益機会が拡がる見通し。13週移動平均線を上値に日柄調整は続きそうだが、材料待ちのスタンスで押し目買い妙味が膨らみそうだ。(株式評論家・信濃川)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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