2016年の新設法人は12万7829社、増加率は2年連続で低下

2017年5月21日 17:28

 東京商工リサーチによると、2016年(1-12月)に全国で新しく設立された法人(新設法人)は12万7,829社だった。社数は7年連続で前年を上回ったが、増加率は2年連続で低下し2.1%増にとどまった。

 業種別では、「宿泊業」が2016年の訪日外国人観光客数が2,403万人(前年比22%増、国土交通省)と過去最高に達したことや、先行きの東京五輪・パラリンピック開催などを背景に前年比40.6%増と伸び率が最大になった。これに対し、起業ラッシュが一服した太陽光発電を含む「電気・ガス・熱供給・水道業」は同18.0%減と明暗を分けた。

 2016年(1-12月)の新設法人は、12万7,829社(前年比2.1%増、前年12万5,141社)で、2010年以降、7年連続で前年を上回ったが、増加率は前年(4.5%)を2.4ポイント下回る2.1%にとどまった。これは、リーマン・ショック後では前年比マイナスになった2009年を除いて、最も低い伸び率だった。増加ペースの鈍化傾向が鮮明になってきたことで、今後は起業促進に向けた官民挙げての支援と環境作りが急がれる。

 このほか、企業倒産が26年ぶりの低水準で推移する一方で、2016年の休廃業・解散は調査開始以来、最多を記録した。2016年の新設法人数は、休廃業・解散と倒産件数の合計3万8,029件に対して、3.3倍(前年3.4倍)で推移している。

 資本金別では、「5百万円以上1千万円未満」が2万5,495社(前年比4.1%増)、「1百万円未満」が2万6,600社(同2.9%増)、「1百万円以上5百万円未満」が5万7,061社(同1.9%増)と、それぞれ増加した。

 一方、「1億円以上」は414社(同18.0%減)、「5千万円以上1億円未満」は601社(同7.1%減)、「1千万円以上5千万円未満」は5,542社(同4.4%減)と前年を下回った。

 資本金1千万円未満の「増加」に対して、1千万円以上が「減少」と対照的な動きを示した。

 最低資本金制度の廃止が浸透し、1千万円未満の小規模な資本金の法人が12万1,272社(構成比94.8%)を占めている。

 産業別では、10産業のうち7産業で前年より増加した。増加率トップは、建設業の前年比9.2%増(前年7.6%増)で、前年より1.6ポイント上昇した。次いで、農・林・漁・鉱業(同8.4%増)、不動産業(同6.1%増)、製造業(同6.1%増)、情報通信業(同1.9%増)、運輸業(同0.9%増)、サービス業他(同0.4%増)の順。

 建設業は2020年の東京五輪・パラリンピック開催を控え、社会インフラ整備や民間投資など先行きの建築投資増が期待されており、設立が増えたとみられる。

 一方で、金融・保険業(同8.2%減)、小売業(同2.5%減)、卸売業(同0.5%減)の3産業は前年を下回った。金融・保険業は、マイナス金利の導入で低金利が長期化し、運用益をあげることが難しい環境が影響したとみられる。また、小売業は消費者の支出が低迷するなかで飲食料品小売、通販など無店舗小売業が減少した。「安心」、「安全」の両面に加え、販売チャネルの多様化や価格競争の影響を受ける流通業界の苦戦を反映した格好となった。(編集担当:慶尾六郎)

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