大学発ベンチャー、業種最多は「サービス業」 大学は東大が最多

2017年5月6日 09:34

 近年、IoT(Internet of Things)や Fintech、人工知能(AI)、バイオなど、様々な分野において技術革新が急速に進んでいる。なかでも注目を集めるのは、大学等の革新的な研究成果を基にした「大学発ベンチャー」だ。政府は3月24 日の未来投資会議で、2017年度から大学が大学発ベンチャーの株式を一定期間保有できるようにする制度改革を進める方針を決めた。最近では、米IT大手や国内大手各社による大学発ベンチャーへの投資が活発なほか、地方でも大学や金融機関主導によるベンチャーキャピタルの設立が相次いでおり、国内外から注がれる大学発ベンチャーへの期待は依然として高い。そこで、帝国データバンクは、2017年4月時点の企業概要データベース「COSMOS2」のほか、信用調査報告書ファイル、その他外部情報などを基に、大学発ベンチャー858社を集計・分析した。

 業種別に見ると、最も多かったのはソフトウェアや医療関連など「サービス業」の411社(構成比47.9%)。以下、多岐にわたる分野で大学との提携が見られた「製造業」(292社、同34.0%)、「卸売業」(120社、同14.0%)と続き、上位 3業種で全体の9割以上を占めている。業種細分類別に見ると、「受託開発ソフトウェア業」(98社、同11.4%)が全体の約1割を占め、研究開発した特許やノウハウ自体を提供する「技術提供業」(57社、同6.6%)、「パッケージソフトウェア業」(33社、同3.8%)など、IT関連を中心とした企業が上位を占めた。また、医療機器や医薬品などの研究開発・製造を中心とするバイオ関連・医療関連の業種も上位となっている。

 社長年齢が判明した大学発ベンチャーを見ると、最も多かったのは「60歳代」の211社(構成比 28.2%)となり、以下「50歳代」の185 社(同24.7%)と続いた。また、研究成果を元に起業した学生や研究者などを含む「20歳代」(8社、同1.1%)や「30 歳代」(73社、同9.8%)の社長もみられ、全体の約1割を占めている。

 従業員数別に見ると、「5人以下」(代表のみで経営を行っている企業を含む)が510社(同 59.4%)となり、全体の約 6 割を占めた。「6人~20人以下」(231社、同26.9%)と合わせると、従業員数20人以下の企業が全体の約86.4%を占め、大学発ベンチャーの多くが少人数で構成された企業といえる。

 

 大学別に見ると、トップは「東京大学」の 93社。以下「東北大学」の43社、「大阪大学」の 42社。9位の「慶應義塾大学」(26社)を除き、11 校中10校が国立大学となったほか、全体の約1割を東京大学発ベンチャーが占めた。

 また、私立大学だけで見ると、「慶應義塾大学」(26社)と「早稲田大学」(18 社)が上位を占めるほか、「会津大学」「近畿大学」「東海大学」(13社)などが上位となった。

 本社所在地を都道府県別に見ると、最も多かったのは「東京都」の 236 社(構成比 27.5%)。2位の「神奈川県」(65社、同7.6%)と比較しても「東京都」が突出しており、約3割の大学発ベンチャーが東京都に本社を置いていた。また、都道府県上位には旧帝国大学の所在地(大阪府、福岡県、京都府、宮城県、北海道、愛知県)が上位を占めており、「つくば学研都市」を擁する「茨城県」(29社、同3.4%)も上位となっている。(編集担当:慶尾六郎)

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