核融合研、重水素プラズマ生成実験で1億度を達成
2017年4月24日 06:57
核融合を発電に利用する技術の研究開発を行っている自然科学研究機構核融合科学研究所は、大型ヘリカル装置という独自の装置を用いて重水素を加熱、2013年に軽水素で達成した9,400万度の記録を自ら塗り替え、1億度のプラズマを生成することに成功した。なお、核融合発電の実用化の為には1億2,000万度が必要であるとされており、これはその為の過程の一つとなる。
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ごく基本的なところから話を始めよう。核融合についてである。現在の人類の技術において、核融合反応を起こすことには既に成功している。核融合反応によって高エネルギーを引き出すためには、まず原子に高エネルギーを加えなくてはならない。具体的には、核分裂による核爆発をリリーサーとし、水素に核融合反応を起こさせ、核融合エネルギーを軍事利用するのである。いわゆる、水素爆弾だ。
ごく簡単に理屈を言えばこれだけの話であり、また最初の実験成功は1952年と半世紀以上も前のことだが、この時点でも極めて複雑で高度な技術が必要となる。ちなみに2016年、北朝鮮が開発に成功したと主張しているが、その真偽のほどは定かでない。
また、過去に常温核融合という構想もあったが、理論はともかく実用的な常温核融合実現の可能性は低いと目され、今日ではあまり表舞台で取沙汰されることは少ない。
常温核融合が無理筋であるならば、どうにかして超高熱を発生させて核融合反応を起こさないことには、核融合は起こせない。兵器として運用するより、そのエネルギーを管理・利用する方が遥かに難しく、こちらはまだ誰も成功しておらず、目下各国で研究中というわけである。
そういった研究機関の一つが日本の核融合研なわけであるが、今回の実験の成功は、大型ヘリカル装置の運用管理がうまくいったことによるものであるらしい。なお、1億度を取り扱う研究であるから当然重要な問題となるが、安全面の確保も十分に行われている。
核融合発電実用化までの道はまだまだ険しいと思われるが、どうか関係者一同の尽力をこれからも期待したいところである。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)