ローム、生産工程IoT化、“工場見える化”の簡便な構築法をテクノフロンティアで
2017年4月23日 22:20
「テクノフロンティア2017(TECHNO-FRONTIER 2017)」が、千葉市美浜区の幕張メッセを会場に、4月19日から21日まで開催された。同イベントは、今年で35回目を迎えた。
モーターやアクチュエーターなどの「モーター技術展」をはじめ「電源」「ノイズ対策」「IoT」など、9分野のメカトロニクス、エレクトロニクスの要素技術、製品設計を支援する部品や技術の最新見本市である。
京都の半導体メーカーであるロームは、数々の技術・製品を展示するなかで、ブースの「IoT」コーナーで関連する技術を組み合わせ、比較的簡便に既存の工場などを“見える化”する工場モニタリングシステムのデモを展示した。
そこでは、まず工場を見張るための各種センサーといくつかの無線通信テクノロジーを組み合わせて“工場の見える化”を図っていた。
ロームは実際に同社既存の試作ラインの工場を使って“見える化”した機能は、重要度が高い4点に絞って実施された。それは「装置の現在状態監視」「長期間の稼働率把握」「24時間、装置の稼働状況チェック」「異常を知らせるアラーム回数の把握」だ。これを見える化したことで製造ラインの健康度が分かるという。
ところで、IoTを生産設備に導入する目的は“見える化”で工場の生産効率を向上させることだ。そのために「どの装置を改善するのか」「何を改善するのか」「改善活動前後で、どう変わったのか」を知ることが必要。すべての生産システムをオンラインで繋げばデータは得られるが、そこには莫大なコストや時間が必要となる。また、オンラインに接続できない古い装置が混在している場合も多い。
そこで、ロームは簡単に導入できるIoTデバイスを考案した。その基本要素は、「配線不要で後付け可能な無線通信」「低消費電力(小さな電池、あるいはハーベスター活用)」で「すぐに導入」して「素早く改善」に?げるというもの。
その設置に必要な装置としてロームは、同社の加速度センサーやジャイロセンサーのようなモーションセンサーと温度などの環境センサーのデータをロームが開発するWi-SUNやBluetoothなどの無線ネットワークを使って情報をクラウドなどに集約することでIoT化を図り、生産工程を“見える化”するという。
このネットワーク構築で、もっとも重要なのが、ロームが複数用意している無線通信規格の組み合わせだ。ロームが持っている技術を組み合わせて、例えば電源レスで100m程度の通信可能な「enocean」で小さなデータを集積してターミナルに運び、そこから500m以上の通信に適したWi-SUNで、まとめて管理センターの端末に送るというような環境を構築できる。
多彩なセンサー、数多くの無線通信技術、そして簡便にIoT環境を構築するためのノウハウがロームに存在する。(編集担当:吉田恒)